『ベルリン僕らの革命』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

2005-06-07の投稿

ベルリン、僕らの革命

 

 

冷たく壊れたハレルヤ

 

もしかすると天に神はいるのかもしれない

だが私が愛から学んだものは

いかにして殺られる前に殺るかという事

今宵貴方が聴いているものは

不平でもなければ、光を見た巡礼者たちの声でもない。

それは、冷たく壊れたハレルヤなのです

byレナードコーエン

 

こういう今の世代らしいヴァイタリティに溢れた作品はとても好き。彼らの青春をフカンする気にはなれない。ジョンケール(VUG)もボノ(U2)もカヴァーしたこの名曲の歌詞をそのままテーマにして話にしたような作品です。現代ドイツ版の『突然炎の如く』とも言われているが三角関係はあくまでも導入部。やはり、この面白さの本質は人質となった元闘志のブルジョワと思想犯達との間に、残酷にも生まれかける淡い信頼関係なのだろう。「貧乏人を搾取する金持ちはムカつくー」てな感じでいかにも現代的な短絡行動に理屈を乗せただけの3人組。理想を見失い、いつの間にかしがらみだらけになった男。相容れないふたつの嘆きは何とも皮肉な共鳴を響かせる。

 

昔、連城三紀彦+荒井晴彦コンビのサスペンスTVドラマで闘争に没頭した赤軍の後輩が社会に順応し一流企業の重役となった要領の良い先輩を非難するシーンがあった。反体制をアジった世代がのうのうと資本主義の恩恵を受けて良い暮らしをしている事が許せなかったらしい。それから更に時は流れた。革命への想いに接点はない。ただ単に若さ故のフラストレーションが弾けただけか。まるでニザンだ。どの世代にもこの苦悩は付いて回る。