『すれ違いのダイアリーズ』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

アキラの映画感想日記

映画を通した社会批判

2018-06-10の投稿

すれ違いのダイアリーズ

 

 

 

すれ違いと云うより入れ違い。ラグジュアリー感のある観光案内的な狙いも透けて見えるタッチで水辺の地方集落を舞台に描かれるタイのラブコメ。タイ映画って香港資本の娯楽と欧州でウケの良い作家主義と2分されてる気がする訳だが、やたらと即物的な娯楽要素を詰め込み過ぎずに、かつ難解な作家主義に走り過ぎないこの作品位の落ち着いたトーンが好き。とある水上分校に左遷された女性教師と、その後釜として赴任した男性教師を、ひとつの日記帳が共感で結ぶ。つまり最初は女性の日記を一方的に男性が読んで好意を寄せている訳だが、その二人のエピソードをカットバックして一年前と現在の話を行き来するってな構成。所によってはアンゲロプロス作品みたいにひとつのショットの中で何度も過去と現在を見せるというアクロバティックな見せ方もしている。リゾート感を味わえる心地良い映像の中で展開するラブコメって感じで、もし幕張のアジア海洋映画祭が続いていたら確実に上映されていただろう。

 

とりあえず頭空っぽで楽しめる内容ではあるが二人の共感部分である所のアンチ詰め込み教育って所が一応テーマらしいと云える。やっぱ体に教え理解させる教育こそ理想的。理解してない言葉をいくら詰め込んでも学んだ事にはならないのだから。そんな教育してると試験に強いだけの偽エリートが大量生産されちゃうだろうに。