『バードボックス』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

2020-06-10の投稿

バード・ボックス

 

 

家は安全じゃありません

 

家族ドラマや社会派を中心に撮っている北欧の鬼才スザンネビアが何と今回はネトフリ資本でパニックホラーに挑戦。一応は義理の娘と実の息子の命の選択を迫られる家族ドラマとしてまとまってはいるが全体的には典型的なカタストロフィ系。屋外で何かを見てしまった人々が次々に発狂して集団自殺するという謎の現象から逃げ惑う人々が描かれます。それを見ないように目隠しをする人々はメイレレスの『ブラインド』のように象徴的。意外にビア監督はサスペンスフルな見せ方が上手くて見えそうで見えないギリギリの構図を使った見せ方にヒリヒリさせられます。それにしても『リセット』等のパニックホラーを見ても思う事だが、なぜ人々は理解不能な現象に対し屋内に隠れれば安全だと思い込めるのだろうか。

 

ハッキリ云ってそれは正常化バイアスで事実から目を背けた妄信に過ぎない。それこそコロナに対してステイホームと同じでダラボンの『ミスト』よりも愚かなパニック心理。屋内は安全ではありません。フランスで云われる所の"ダチョウの政治"って奴です。つまり顔だけ地面に突っ込んで見ないふりをする事で安寧を得ようとする危険な愚行に身を晒しているのです。『アトミックカフェ』の頃から愚民を黙らせる為に使われた方便です。だから臆病で思考力のないバカだけがステイホームし自粛警察までする。どこにも安全な所はない。やがて人は死ぬ。そんな当たり前の事実を受け入れられない臆病者。安心中毒患者の妄言に付き合っていたら危険を避けられなくなって社会は潰れます。エスタブリッシュメントや知的階層はその事実を理解してるからこそ自粛なんて愚行には走らない。そんな一般的な連中ではなく妄信で逃げ回る愚民に視点を置くって意味でも典型的なパニックホラー。