『ザ・プール』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

アキラの映画感想日記

映画を通した社会批判

2020-06-02

ザ・プール

 

 

もどかしい

 

パン兄弟を思わせるようなタイのスタイリッシュホラー。タイトルの通り廃墟の深いプールの底に取り残された男が何とかしてプールサイドへよじ登って脱出を試みるサバイバル。そこには野生のワニと死にかけて意識を失った婚約者。油断をすれば恋人を食べられてしまう最悪の状況で脱出の為の知恵を絞る。まるでダニーボイルの『127時間』を思わせる動かないアクションを思わせるもどかしさはあるものの今作では出来過ぎなほどに様々なギミックが仕掛けられていてピンチやチャンスの連続なので退屈させません。ちょっとした自然現象からチェインリアクションが派生して希望の扉が開かれたり閉じられたり。そんな風にして逃げられるチャンスは何度も訪れる訳だが不運過ぎる偶然が重なって逃げられそうで逃げられず事態は悪化してゆく。

 

この主人公はCM撮影の末端スタッフって設定で撮影後にプールに浮いた浮き輪で昼寝をしてたら水を抜かれ取り残されてしまう訳だが、この事態の悪化の原因は少なからず彼の不用心さや過剰なパニック心理にあります。それだけに見ている側は自分なら簡単に避けられそうなのにと見ていてもどかしくなります。

 

それにしても8K撮影なのか4K撮影なのかは分らないが最近はディテールの汚しが細部まで映るので廃墟のシズル感がハンパない。せっかくクリエイターが高品質で撮っても日本のシネコンじゃ恥知らずにも未だに設備投資を怠ってHDビデオを流すものだから今の日本の劇場じゃ映画の品質は伝わりません。もし映画が見たいのであれば全てwebで落として信頼できる中国メイカーのモニターで見ましょう。あくまでも映画というコンテンツが廃れる事はないが映画館というオールドメディアは機能不全のオワコンです。ただただ横領行為に精を出す無能日本企業は潰れた方が日本の為です。まあ本作に関しては爪が剥がれそうになったり有刺鉄線をよじ登ろうとしたり細部が見えるとやたらと痛そうな描写が多いので多少はぼやけた日本の不良品で見た方が痛くなくて良いのかもしれないけど。