『夜空はいつでも最高密度の青色だ』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

2018-05-20の投稿

憲法13条蹂躙

 

 

「嫌な事は俺が全部半分にしてやる」あくまでも人間像としては石井作品らしい能天気でオプチミスティックでちょっと抜けたキャラ。ヒロインは看護師の仕事をしながら夜はガールズバーでアルバイトをしてた事で主人公と知り合う。この二人の在り方は実に健気だ。この時代にあってここまで飄々と厳しい現実に立ち向かう若者たちの姿は切なく胸が苦しくなる。ヒロインは個人的事情からニヒルな価値観に陥ってはいるが男の方は正に何の保証もない雇用環境でドン詰まり。もし自分にクリエイティヴの才能がなかったら彼らのように低賃金の3Kな労働環境で使い潰されるしかなかったと思うとゾッとする。こんな風に看護師や建築業などの業種は人材不足にもかかわらず雇用形態が不安定でどんどんブラック化に拍車がかかるだけに絶対に関わりたくない。これらの業種にこそ労働改革は必要。

 

オリンピック招致の為に会場設置を急ぐ建築会社の若者の過労死が昨年から話題になっている。ただでさえ人口減少で働き手が足りない建築現場で低賃金の若者がゴミのように使い潰される。この映画に登場する若者たちは低賃金で日雇いの工事現場で正に使い潰される。フィリピン人の正社員と非正規の日本人。解雇を恐れ病気を隠さざるを得ず過重労働で命を失う者。一日分の給料はガールズバーに入っただけで消えるような薄給。真夏にクーラーを使う電気代すらも払えずに熱中症で命を失う。>すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。< 憲法13条の人権条項、守られてないだろ。この物語上には搾取する側のブルジョワは登場しない。ただただ搾取され命が浪費されてゆく。ちょっと年を食って老朽化で腰が限界になれば無慈悲に解雇。未来に夢も希望も持てる訳がない。そんな中で不安と格闘しながら生きる若者たちのラブストーリー。

 

これまでは能天気な作品ばかり撮っていた石井裕也にここまで辛辣な作品を発表させてしまうこの時代って何なんだ?かつては享楽的なナンセンスパロディばかり描いていた漫☆画太郎ですらも連載中の"星の王子さま"では老害に未来を食い潰されつつある現代を憤激を持って痛烈に糾弾している。ここまで無邪気な作家すらも物言わずにいられなくなる現状があるのだ。この現状を恥じるだけの心を持った支配者階級はもはや日本には生き残っていないのだろうか。GHQの洗脳により個人主義という害毒を植え付けられた戦後生まれの売国パヨクに対し箍となっていた戦中世代が死に絶えつつある今となっては口先だけで保守の猿真似をするだけの能無し世襲パヨク売国奴が日本を牛耳り利己的なマネーゲームに興じる為に国体を破壊し日本の財産たる若者を食い潰し未来の芽を毟り取る。ここまで日本を荒廃させた無能ブルジョワは恥を知れ!