『マリア・ブラウンの結婚』の感想from映画生活 | アキラの映画感想日記

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映画を通した社会批判

2005-02-03の投稿

マリア・ブラウンの結婚

 

 

爆発!

 

アドルフヒトラーの肖像が粉々に砕け散る。

絶え間ない連合軍の攻撃。たった3週間の恋と

半日だけの夫婦生活。それだけを信じ待つ女。

一見すると『哀愁』みたいな話だがテーマは全く違う。

 

前後の爆発に物語は挟まれている。その外側に並ぶ

首相達の肖像。ドイツ国家を奏でられないアコーディオン。

バーに鳴り響くグレンミラー。働かなくなった男達。

破壊された家屋で薪を求め夜の到来に凍える人々。

純血ドイツ女である主人公と黒人の性交。妊娠。

優勢思想の死。理想主義の崩壊。ドライにシビアに

変ってゆく女。確実に何かを失っている人々を通し

戦後ドイツの虚無をドイツ人自身の視点で描いている。

インパクトが強く忘れられないファスビンター作品です。