アニメ『響け!ユーフォニアム』を観て吹奏楽部の頃を思い出した | アキ子じゃない!

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この前、マツコ・デラックスがテレビ番組でとある金管楽器の名称を『ユーフォニアム』と呼んでいた。しかも最近こういう言い方に変わったという。

確かにオレが学生時代はその楽器は『ユーフォニューム』と言っていたので聞いた時違和感があった。

まあ、これは正式名称であって普段は『ユーフォ』って略して言っていたので、当時からフルネームでこの名称を聞く機会もあまりなかったけど。

ネットで調べてみたら確かに楽器メーカーや楽器の団体が名称を変更していたことが分かった。

 

そのネットで調べていた時に、アニメでユーフォの名前が付いたものが人気だったと知った。

2015年アニメ化で、結構古いアニメだったが、何の遜色も無く美しい画のアニメだ。『さすが京都アニメーションの制作だ』ってレビューもあったぐらいだ。

今回は1と2を続けて観た。

 

 

あらすじは、主人公が高校に入学し、弱小吹奏楽部に入部。全国大会を目指すというもの。

 

 

  オレが吹奏楽を始めたのは小学生のとき

 

オレは小学校の5年生から中学3年生まで金管楽器のトランペットを担当していた。

実は小学校4年生の時に間違って音楽クラブというのに入ってしまって、1年間を棒に振ってしまっていた。音楽クラブというのは打楽器がメインの鼓笛隊だった。シンバルを担当させられたのだが、シンバルには先輩もいなくて、先生も全く教えてくれない。譜面の見方も分からず独学で勉強。演奏中、シンバルを鳴らすと、先生から『その部分の音は要りません』と言われほとんど出番も無くなり大変つまらない1年間を過ごしてしまった。

で5年生になり、念願の吹奏楽部に入部できた。特に音楽が好きでも楽器が好きでも無かったんだけど、運動が苦手なオレは運動会やイベントで演奏している吹奏楽部を見てやってみたいという憧れがあった。

楽器を決める時、脇目も振らずトランペットを希望した。

花形なだけあってすでに大所帯。6人はいたかな。同級生もいたが、4年生から始めており1年ベテランということになる。シンバルやってる場合じゃなかったと焦った。

しかし、花形トランペットは大きい音量が必要だからある程度人数がいる。なんとかトランペットをやることができた。

顧問の先生もトランペットに詳しかったのか丁寧に教えてくれた。

 

 

  中学生でも吹奏楽を続ける

 

そして中学1年になると、真っすぐ吹奏楽部に入部した。小学校からのメンバーも結構いた。トランペットは4人と小学校より断然人数が少なかったのが不安だった。ま、他もホルン4人、トロンボーン3人、ユーフォ2人、チューバ2人だからこんなもんか。

入部してすぐに、先輩から悪い癖が強いから基礎からやり直しだといわれた。今までやってきてたし、そこそこ自身はあったのに出鼻をくじかれた。

しかし、先輩の音を聞くとすごかった。プロの音という感じ。迫力もあった。

 

基礎練習というのがあってきつかった。運動部が使っている校庭のグラウンドでトラック5週とかよく走らせられた。「吹奏楽部も運動部みたいなんだな」ってサッカー部の友達に言われたことがある。腹筋や、今回のアニメにも出てくる腹から息を長く吐き続ける練習とか、楽器を持たない練習時間が永遠とあった。

 

あと座学。ヘ音記号とト音記号の話しだったり、ドレミファソラシドをCDEFGABCであらわすのだが、発音が難しくてやばい。

「C(つぇー)、D(でー)、E(えー)、F(えふ)、G(げー)、A(あー)、B(はー)」という。ドイツ語だったかな。

よく芸能人が、『1万円』のことを『つぇー万』って言うのを聞いたことあると思うが、これは音楽業界から広まっている。

 

話しがそれるが、なんかのイベントで生徒全員で歌を歌わなくてはならなくて、体育館で音楽の先生がピアノを使って教えてくれていた時の話し。

キーが高く中学生男子はとても歌いにくい曲だった。そこで見かねた男の体育の先生(音楽は素人)が音楽の先生(吹奏楽の顧問)にみんなのいる前で意見した。

「先生、この曲は男子には高音が難しすぎます。もう少し低くならないんでしょうか」

多分この体育の先生はカラオケのキーボタンをマイナスに押せばパッとキーが下がるイメージで軽く意見したのだと思う。

すると、音楽の先生はブチぎれてしまった。「この曲は声変わりした男性でも十分歌える曲です。高音が出ないのは練習が足りないんです。それとも何ですか?この曲全体を変調して作り直せとおっしゃってますか?」うんぬんかんぬん。

専門用語でまくしたてる。この迫力に押された体育の先生は、「わかりました。男子にもう少し声出しの練習をさせてあげてください」と言って引いたので、大喧嘩にはならなかった。

 

音楽のことになると熱くなるこの音楽の先生は、当然ながら音楽に関して専門知識が豊富だ。他の学校の吹奏楽部より座学の時間が長かったと思う。音楽大学とか行ったらこんな難しいことを永遠勉強するのかなと思っていた。

 

 

  1年生

 

1年生の時は2年生、3年生がいるので、パートでいうとサードだった。音階も一番低いやつ。簡単だけどあまり楽しくなかった。ハモリ役だから練習していても主旋律とは違うから微妙だなと思ってた。

1年生の時は練習が厳しかった。基礎からやり直させられてたのもあるけど、基礎訓練の時間が半端なく長かった。ロングトーンとか、音合わせとか真面目にやる先輩だった。

息を合わせる練習でトランペットのパートみんなで手拍子と口で曲を歌ったりした。オレ歌が苦手だから嫌な練習だった。

手拍子の時、右手の指先が左手よりズレていると、「今は拍手じゃないんだから手の先は左右合わせなさい!男だからっていうのは理由にならないから」って手拍子一つでも怒られる。

4人でラの音を『パーーー』って吹くとみんな微妙に音程が違う。検知する機械を見ながら吹くんだけど、機械見なくても音で分かってくる。『うわ~んうわ~ん』って音の波形が聞こえてくる。ぴったりすると一つの音に聞こえる。この音合わせが大変だった。心を一つにする儀式の様だった。

 

オレは小学生の時から週に2回近所の学習塾に通っていた。中学に入ってからも続けて通っていた。

隣町の進学校向け学習塾に通い始めた仲の良い同級生が2人いて、一緒に通わないかと誘われていた。行きたかったけど、隣町まで行くのはさすがに練習できなくなるから断った。しかし、この近所の学習塾に行くことですら、夕方の練習を休むことになるので、パートリーダーの3年生は良く思っていなかったのだ。

ある日、オレの技術の上達が遅いって話になった。理由は練習不足。なんで練習不足かというと週に2回も塾に行くといって練習をさぼっているから。というのが3年生のパートリーダーの見解だ。

悲しかったよ。オレは女子が多い1年の中で数少ない男子。(と言っても男子はオレ含め4人)

下っ端の1年が音楽室の準備をする。パイプ椅子を用意したり譜面台や楽器を準備室から運ぶ作業で、女子はたらたら1個づつ荷物を運んでいるのを横目に、オレはトランペットの楽器ケース4つを両手で持って一気に運んだり、パイプ椅子も両脇に抱えてまとめて小走りで運んで準備する時間を短縮して練習時間を確保したり、土日は楽器を持ち帰り近所の土手で練習した。

塾で練習を休むことには十分引け目を感じていてやれることはやっていたのに、そんなことは一切触れられず結局、吹奏楽を続けるなら学習塾をやめろと迫られた。多分顧問の先生は無関係だと思う。3年生のパートリーダーの独断だろう。先生や親が絡んでたらこんな残酷な2択になるとは思えない。

正直学校の授業では分からないことが質問できず先に進んでしまうので、塾で授業の少し先を個別に教えてもらえることで、授業に対する安心感が得られていた。塾をやめたら授業から取り残されると思うという恐怖があった。

しかし、吹奏楽をやめて学習塾に行くことになったとしても所詮授業の補足機能でしかない今の塾。そこそこの成績を収める平凡な学生生活をおくることになるだろう。

友達が誘ってきている進学校向けの塾なら良い高校に行くという目標に向かって勉強できるが良い高校に行ってそのあとはどうする?いい大学か。そのあとは?決まってない。

小学生の時、何の趣味も無く、スポーツが苦手で熱中できるものを探していたオレはトランペットに出会えてうれしかった。そしてトランペットが大好きだった。

陰キャなオレが、他の楽器のお膳立てで一番盛り上がる派手なところを演奏させてもらえる!スポットライトが当たりソロを吹く。聴く人を魅了させることができるのはトランペットだ!トランペットという仮面をつけることで陽キャを演じられる楽しさがあった。

 

だから、進学と吹奏楽を天秤にかけた時、吹奏楽を選んでしまった。その時は、まあ塾に行っていない人でも勉強頑張っている人も居るんだから大丈夫って思うようにした。

 

 

  2年生

 

2年生になると、セカンドを任せてもらえることになった。と言ってもまだハモリ役には変わりはない。

顧問は産休に入ってしまった。あの豊富な知識武装された女先生は1年間は休むという。ピアノが専門の副顧問が代わりを務めるかと思ったら、代わりの先生が着任するという。その先生は、プロのトランペット奏者の男性だった。当時、ドリフみたいな番組は、コントが終わるとゲストの歌手が歌う時間があり、バンドの生演奏で歌ってもらうというのがあった。その生バンドでトランペットを吹いたり、ある歌手のお抱え奏者だったという経歴の持ち主。

オレたちはトランペットだから他の楽器よりも濃いレッスンを受けることができた。

その内、他のパートの同期から「あきらのトランペットってさ、プロっぽくなったよな!」って褒めてもらえるまでに上達していた。今考えると黄金期だったと思う。

休みの日に先生が車で部員数人と秋葉原の大型楽器店に連れて行ってもらったことがある。マウスピースには色々種類があって、出したい音によって使い分けるというのを初めて知った。で、試しに1個買った記憶がある。

 

 

  3年生

 

3年生になると、トランペット奏者の先生は異動してしまい、産休の先生は戻ってきたが、仕事量をセーブするためなのか、副顧問の先生が顧問として担当することになった。

オレは3年になった頃からスランプになってしまった。口の周りがすぐに疲れてしまい高い音が出せなくなってしまったのだ。ピアノを専攻している今の顧問に相談するも「去年までいたトランペットの先生に相談してみれば?」って人ごとの回答。今みたいにLINEでつながっているわけじゃない。先生の電話番号なんか知らなかったし。

その内、その先生のアドバイスは「練習のしすぎかもしれないから、練習はソコソコにして口周りの筋肉が疲労しないように温存しなさい」と言い出した。練習するなとのお達しが出てしまった。

最初は本当に練習のし過ぎなのかと先生のアドバイスを受け入れ、パート練習では後輩の指導や同期とおしゃべりして時間を過ごしていた。

次第に、後輩は不満がたまったようで、「なんで先輩は練習しないんですか?私たちばかり練習させられて!やってられません」みたいなことを言われてしまった。

練習するなっていう指導方法に納得していたわけじゃないけど、できることはこれくらいしかないから仕方なく先生に従っていたが、後輩からこういわれてしまってはかなわない。

先生にうまくなりたいと改めて直談判した。

すると、先生の知り合いで別の学校で吹奏楽の顧問をやっている先生と連絡を取ってくれて、余っている楽器を借りてきてくれた。『コルネット』という楽器で、トランペットと同じ音色で高音が出やすい楽器だという。先生がオレのためにしてくれたという嬉しさで、早速コルネットで音出しの練習を始めた。しかし、多分このコルネットは安物の使えない楽器だと思った。

高音の出方は今まで使っていたトランペットと何ら変わらないし、逆に音色が薄っぺらだ。

先生に正直に言おうか迷ったが、オレのことを考えて知り合いの先生に頭を下げて借りてきてくれたこの楽器を使えないからって返却するのは申し訳ない気がして、渋々使い続けることになる。

 

それもこれも、コンクールの課題曲がトランペットにとってキツイ超高音が曲の冒頭からある難しい曲だったのだ。オレは念願のファーストだから一番目立つ音を出さなければならない。同期がもう一人トランペットだったが、ファーストは死守した。

必死に練習し、1時間、2時間練習をした後になるととてもじゃないけど出ない高音だった。

コンクール本番で他校の曲を聞いてみると、大半はそのトランペットの超高音を1オクターブ下げて無難にやり過ごしている学校もあった。やっぱ高難易度の曲だったんだと悟った。

早々に無理と先生に判断されて1オクターブ低いダサいトランペットのパートになるより、挑戦させてもらえたことは結果としてはありがたかったけど。

で、本番はどうだったか?っていうと、予想通り、『ぽへー』っとミスしてしまい失敗に終わった。

最悪だ。何十年も経っている今でもこんなに鮮明に覚えているんだから。

 

 

  大人になって思うこと

 

今考えると、1年生の時にやっていた基礎練習をオレが3年生の時には、おろそかにしていたからだと思う。1年生の時の3年生のパートリーダーから唇に力が入りすぎていると何度も指摘されてたもの。

3年生になって基礎を忘れてしまい、唇の力を抜くことを怠って力が入ってしまい、唇周りの筋肉が疲労して力が入らなくなって思うように音が出なくなったんだと思う。1年の時は高い音なんか担当しなかったから基礎練習も適当にやっていても痛くもかゆくも無かった。

しかし、ファーストを担当するようになると高音が多くなるし、ソロで一人で拭くことも出てきた。なおさら基礎練習ができていないと自己流になってしまう。そりゃ良い音は出ないよなって今なら分かる。

プロのトランペットの先生が3年生の時に指導してくれていたらってずっと思っていた。

自分の基礎がなっていないことは棚に上げてね。

まあ、1年生から慕われてもいないし、半分どうでも良いと思ってしまってたところはある。

 

今年の3月頃、地元の中学、高校生の合同コンサートを聴きに行ったけど、レベルが高くて感心した。曲数も多い。

オレらの時も、こういったコンサートの他に、学校行事の運動会や文化祭、入学式なんかの式典での演奏、市が主催の運動会や式典での演奏もあった。夏は自分たちが目指しているコンクールの練習の他に、野球部も全国に向けて試合があって、県大会とか行くとなると応援団として吹奏楽部も出席するのでその曲の練習もやった。応援の曲の練習は息抜きになって楽しかったなぁ。

 

アニメにも出てきたけど、学生さんはホントに大変な毎日を送っているよね。軸となる授業やテストがあって、朝、夕方に部活。運動会や文化祭の準備とイベントが目白押し。

その他駅前コンサートとかの演奏なども盛り込まれる。

 

オレは吹奏楽部の他に学年生徒会長をやっていた。運動会や文化祭の運営もやっていた。運動会は種目の企画書を先生に提出したりしていた。障害物競走とかタイヤにロープを結んで、引っ張って競争する競技とかいくつも立案し、仕様書や指示書(障害物競走で小豆を箸でつまんで皿に移すコーナーで、競技者が小豆をこぼした場合、全て拾わなくても必要数(10個とかだったかな)を拾えば競技を再開してOKとかの細かい規定やルールも考えた)までも作った。

いやー部活以外にも色々活動していたからホント忙しいのによく頑張ってたよ。

 

アニメの中でオレの好きな『T-SQUARE』の『宝島』が演奏されるシーンがあって感動した。

 

吹奏楽部に所属したことがある人はぜひ観てもらいたいアニメだけど、吹奏楽部じゃなくても部活やっていたら共感できるところは多く出てくると思うんで今更だけど観てもらいたいアニメでした。