舟木一夫
産経新聞にファンが読者投稿
コンサートで口笛とハーモニカ
その音色に父への思いが溢れ涙
2025年4月19日(土)付の産経新聞(朝刊)に、舟木一夫さんファンの読者のエッセーが掲載されました。「朝晴れエッセー」という同紙の人気コーナーです。「ハーモニカ」のタイトルで投稿されたのは、大阪府柏原市の田倉あけみさん(78)。コンサートで舟木さんが吹かれたハーモニカと口笛の音色を聴いて父親を思い出し、涙が溢れて止まらなかったというお話です。舟友さんから知らせていただきました。
ハーモニカ
昔のことがいろいろ思い出されるこの頃、ふと舟木一夫のコンサートがあると知り1人で出かけた。
満員御礼の会場で青春を同時期に過ごしたファンの熱気に圧倒されながら、私も両隣の人たちと体を揺らした。宴もたけなわとなり、バラードが始まり、口笛とハーモニカを吹く歌になった。すると途端に涙があふれてきた。
幼い頃、父がよく家族を集めてハーモニカを吹いてくれた。「上手やなあ」と言って母も一緒にアンコールをした。ハーモニカは20歳頃から3年ほど戦争で満州に行き、覚えたという。
戦場で右太股を鉄砲の弾が貫通し、手術をして1か月後にまた戦場に出たこと、戦友が亡くなったときは何日も食事がのどを通らなかったこと…。苦い思い出を語りながら、持ち帰ったカーキ色の毛布や脚絆(きゃはん)、写真などを押し入れから出してきて、時々私たちに見せてくれた。
あの時の父の思い出がハーモニカの音色とともにあふれてきて涙が止まらなかった。
今4人の子供と孫に囲まれ、幸せに暮らせていられるのは、父のように命がけで平和を守ってくださった人たちのおかげだ。そう子供や孫たちに伝えていきたくて、出征時、幟(のぼり)を立てて皆に送られた父の写真を見せている。
田倉あけみ(78) 大阪府柏原市
舟木さんは現在、「2025年 80’ツアーコンサート」の真っ最中。1月30日(木)の埼玉・大宮ソニックシティでスタートしたツアーコンサートは、17日(木)に埼玉・ウェスタ川越で行われたコンサートで11か所をこなし、うち10か所の会場で「満員御礼」の幟が立てられました。年末までに50か所以上の会場でコンサートを行う予定です。今年の通常コンサートのセットリストは以下の通りです。
<セットリスト>
(オープニング)
季節かさねて
山のかなたに
あいつと私
雨の中に消えて
青春の鐘
花咲く乙女たち
東京は恋する
北国の街
友を送る歌
その人は昔のテーマ
(スタンディング)
銭形平次(ロックver)
ROCK’N ROLL ふるさと(旅愁ver)
絶唱
夕笛
恋唄
あゝ青春の胸の血は
修学旅行
仲間たち
君たちがいて僕がいた
高校三年生
学園広場
哀愁の夜(5番も)
高原のお嬢さん(バラードver)
(エンディング)
湖愁
(アンコール)
君へ心こめて
4月17日(木)の埼玉・ウェスタ川越コンサートも「満員御礼」
田倉さんがこの通常コンサートに行かれたとすると、私の記憶では、舟木さんがハーモニカを吹いたのはスタンディングの2曲目に歌った「ROCK’N ROLL ふるさと」、口笛を吹いたのは「哀愁の夜」の時です。田倉さんが行かれた時は「哀愁の夜」の時に口笛とともにハーモニカも吹かれたかもしれません。いずれにしても、その音色を聴いて、家族の前でハーモニカを吹いていた父親を思い出し、溢れる涙を抑えきれなかった気持ちはよく分かります。
田倉さんは78歳。昨年暮れの誕生日で80歳の傘寿を迎えられた舟木さんとは同世代であり、舟木ファンの年齢層のど真ん中にあたる方ではないでしょうか。“昭和の歌い手”である舟木さんが歌う“昭和の豊かな歌”は、田倉さんのような“昭和といういい時代を味わった世代”に一番響きます。舟木さんの歌を、そしてハーモニカと口笛の音色を聴いて、田倉さんと同じように古き良き“青春時代”を思い出して涙ぐむ方は少なくないと思います。
田倉さんの文章を読んで、多くの舟木ファンが共感されたのではないでしょうか。私の記憶が間違っていなければ、以前にも舟木さんのファンで「高校三年生」のタイトルで「朝晴れエッセー」に書かれた方がいらっしゃったように思います。調べてみようと思います。ちなみに、19日付の紙面には「朝晴れエッセー」に選ばれた方の3月月間賞が1ページ全面を使って大きく掲載されています。興味がある方は、合わせてお読みください。
選考委員
玉岡かおるさん
(作家)
昭和31年、兵庫県三木市生まれ。神戸女学院大学卒。平成元年に「夢食い魚のブルー・グッドバイ」でデビュー。20年に「お家さん」で第25回織田作之助賞。令和4年、「帆神 北前船を馳せた男・工楽松右衛門」で第41回新田次郎文学賞。大阪芸術大学教授。平成14年、前身の「夕焼けエッセー」から選考委員。
門井慶喜さん
(作家)
昭和46年、群馬県桐生市生まれ。同志社大卒。平成15年「キッドナッパーズ」でオール読物推理小説新人賞を受賞しデビュー。30年「銀河鉄道の父」で第158回直木賞。「マジカル・ヒストリー・ツアー ミステリと美術で読む近代」など著書多数。令和2年1月から「朝晴れエッセー」選考委員。
故 眉村卓さん
(作家、令和元年10月まで選考委員)
昭和9年、大阪府大阪市生まれ。大阪大卒。SF小説の第一人者。54年「消滅の光輪」で第7回泉鏡花文学賞、第10回星雲賞。「ねらわれた学園」「妻に捧げた1778話」など著書多数。令和元年10月まで「朝晴れエッセー」選考委員。同年11月3日に死去。
投稿は500字程度で、氏名と住所、年齢、電話番号を明記し、〒556-8661産経新聞「朝晴れエッセー」係へ。匿名、ペンネームは不可。採用の方のみご連絡します。原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。産経新聞と産経ニュースに掲載されたエッセーは産経新聞社の記事データベースに収録し、デジタル・出版部門の他媒体に転載するほか、外部への情報提供サービス等で二次利用することもあります。
<朝晴れエッセー>3月の月間賞は「桜花賞」 文章ににじむ亡き父への愛情
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解約した夫のスマホを今も時々充電している。散歩中に撮影した四季折々の風景やら、草花の写真を見せてもらうためだ。
水がぬるんできた。
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💛
「高校三年生」のエッセーが見つかりました。東京都小金井市の77歳(当時)の男性が書かれたものです。新聞は見つかりませんでしたが、2024年3月24日に掲載されたものと思われます。以下に転載させていただきます。
高校三年生
近くの福祉会館で開かれた歌う会に参加した。高齢者ばかり30人ほどで22曲歌った。最後の曲は司会者のリードで立って歌った。曲は舟木一夫の「高校三年生」。
この曲を聴くと私は亡き兄を思い出す。2歳上の兄は乳児期に終戦を迎え、海を渡り長野県までの過酷な引き揚げで熱病になり、脳に後遺症を持った。学校の勉強に遅れ、中学校をやっと卒業、近くの工場に入ったが1年で退職した。
胃も患い入退院を繰り返し、多くの施設にお世話になった。いつからか窓に鉄格子のある病棟に移され、重い扉を押しての面会となり、60歳で逝った。いつも一番低い場所から社会を見つめていた人生ではなかったろうか。
その兄が一度、工場に勤めていた年の秋祭りで歌を歌った。曲は「高校三年生」。その前一カ月、家でときをかまわず大声で練習していた。当日は私も母と聴きに行った。兄は真っ赤な顔いっぱいに汗を流し、最後まで歌って拍手をもらった。母も「うまかった」とほめた。
その後の兄の人生に、このときの情景は残っていただろうと私は思う。
歌う会の「高校三年生」。私は胸が詰まり、一番の途中までしか歌えなかった。
小林力(77) 東京都小金井市
💛
昨年80歳を迎え、今なお第一線を走り続ける舟木一夫。
チャンネルNECOでは2024年にLINE CUBE SHIBUYA(旧渋谷公会堂)で開催されたツアーファイナルを始め、舟木一夫の出演作品を2ヶ月に渡り特集!

4月
コンサート TV初!
舟木一夫コンサート2024ツアーファイナル in Shibuya
2024年11月6日(水)にLINE CUBE SHIBUYA(旧渋谷公会堂)で開催された、70代を締めくくる記念すべきコンサートを完全収録!
デビュー曲「高校三年生」や往年の名曲を中心に、盟友・西郷輝彦のヒット曲やアンコールを含めた全29曲を披露。圧巻の歌声でファンを魅了し続ける、舟木一夫のステージをお届け。
【放送日時】4月28日(月)19:00~
5月
ドラマ
雨の中に消えて(全13話)
石坂洋次郎の小説を、舟木一夫と松原智恵子の共演でドラマ化した青春作。3人娘の恋愛を通して女性の結婚観、恋愛観を綴る。
奔放な女子大生・あや子、雑誌社に勤めるOLたか子、洋裁学校に通って花嫁修業中のきみえ。同じ高校を卒業した3人は、秋田から上京し、田園調布の一軒家の離れを借りて同居生活を始めるが…。
【放送日時】#1~3 5月27日(火)07:20~
#4~6 5月28日(水)07:15~
#7~9 5月29日(木)07:15~
#10~13(完) 5月30日(金)06:30~
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