御守り | 台本、雑記置場

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●御守り


 ナレーターをしている足立さんは、時折り朗読の舞台を企画していた。
 朗読会は何度もリハーサルを重ねて本番に臨むものだが、あるときリハーサルに誘った大学の後輩が首から御守りを下げている。
 足立さんが彼にそれは一体どうしたのかと聞くと、後輩はこの御守りがどれだけ由緒正しい御守りかを唾を飛ばして語ったのちに言った。
「僕、葬儀屋でバイトを始めたのですが、そこでちょっと」
 後輩いわく、ある日葬儀屋の仕事の一環で、孤独死した御老人のお宅に遺品の整理に向かったらしい。
 そこで使えるものと廃棄するものを仕分けしていた最中、三体の日本人形が見つかった。
 そのうちの一体がまるで生きているように生々しく精巧な作りで、ふと、後輩は人形と目が合った気がしたのだという。
 その人形はまだリサイクルできるとのことで廃品にはならなかった。

 しかし、その日の夜から彼に変化がおとずれた。
 夜、眠りにつこうと目を閉じると、ある景色が見えるのだという。
 自分を、少し後ろから俯瞰しているような光景だ。
 そこにおかっぱ頭の和服を着た女の子が現れる。
 よく見ると女の子は、御老人の家でリサイクルに出した人形そっくりだった。
 その子は微笑みながらなにごとかを呟いているが、周囲に雑音が入り込んで良く聞こえない。耳を澄ませた後輩に、ようやく女の子の言葉が届いた。

「見てるよ」

 女の子はそう言って、ふっと消えた。
 以来、後輩がこの出来事を誰かに話すと、急にどうしようもないほどの寒さに襲われるのだという。
「だから、今も寒くて仕方がないんです」
 足立さんに一通り話を終えた後輩は、御守りを握りしめて震えながら言った。

 

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