台本、雑記置場

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【そこにあるもの】

 

 

 慰霊碑や神社なんていうものは、なんの理由なくその場所にあるってことはまずない。
 それがたとえ、どんなに小さなものでもだ。
 だから、もしもそれらをどうしても取り壊さなくてはいけないときは、

必ず先に知っておかないといけない。
 なぜ、それがそこに設置されていたのかを――。

 俺がバイトしているショッピングモールは出来たばかりの新しい施設だ。
 もともとは駅前にあった駐車場を撤去してつくられたものらしい。
 このモールには、スタッフの間に流れている噂話があった。
 なんでもこの施設を作るにあたり、どうしても駐車場だけじゃスペースが足りなくって、

横にあった小さな神社と慰霊碑も一緒に撤去したらしい、というものだ。
 あまり縁起のいい話ではないから社員なんかはその噂を話すことを禁止している。

 でもそういう話は人から人へ流れていくもんで、うちのスタッフの間ではかなり有名な話になっていた。
 そんなある日、俺が勤務するショップの近くのトイレでやばいのが出たっていう話が持ち上がった。

 閉店後にトイレで手を洗っていた奴がさ、ふと顔をあげると鏡に何か映っていたっていうんだ。
 俺や仲間は面白半分に騒いでいた。
 でもそのうちバイトが一人、二人とやめていって、ついには社員まで見たっていって異動願いを

出すようになった。もちろん、表向きの理由は違うものだったらしいけれど。

 そんなある日、俺はイベントの準備で遅くまでショップに残っていたときに

トイレに行きたくなっちゃって。
 出るって話を真に受けてはいなかったけど、それでもやっぱり気味が悪い。
 けれど、閉店したあとだから別の棟にいくシャッターはもう閉まっている。
 で、やむなくそこのトイレを使うことにした。
 閉店後は節電で使える照明も減っちゃうから、明かりもあんまりつかなくて薄暗くて気味が悪かった。
 急いで用を足して、手を洗う。
 鏡を見ないようにって思ったのだけど、そういうときって視界のはしっこでつい見ちゃうもんで。

 そこにさ、たしかにいたんだよ。
 薄暗いトイレにふわりとたたずむ、白い足が。
 暗闇から浮かび上がるようにすぅっと伸びてさ。
 顔は見えなかったけど、肩まで伸びた髪と細い足首から女のものだと思うんだけど……。
 暗い空間をふわりと漂うように――

 俺は慌ててトイレを出て、今起きたことを店長に話した。
 店長も今までの経緯を知っているから、結構真面目に聞いてくれてさ。上に掛け合って、

しばらくたったあと、屋上の隅っこに小さな祠(ほこら)が作られた。
 それから、店のトイレで変なものを見るって話は聞かなくなったよ。

 本当、最初っからこうしていればよかったのにな。

 でもこの話には続きがあってさ。
 昨日、俺が風呂場で頭を洗っていた時のこと。
 なぜか急に風呂場の電灯が切れちまって。
 脱衣所の明かりが少しは入ってきていたから、風呂場は真っ暗ではないんだけど。
 急いでシャンプーを流して顔を上げた時に……いたんだよ。
 鏡の向こうに、ふわりと浮き上がる女の白い足首が――

 だからさ。
 絶対に壊す前に、考えなきゃいけなかったんだ。
 なぜそれが、そこに建てられたのかっていう理由を。