「菜の花や月は東に日は西に」 | MTFのAkemiのblog イタリア児童文学・皆既日食・足摺岬が好き

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私は、イタリア児童文学が大好きで、皆既日食も大好きで、足摺岬も大好きな、団塊の世代に属する元大学教員で、性別はMTFです。季節の話題、お買い物の話題、イタリア語の勉強のしかた、新しく見つけたイタリアの楽しい本の話題などを、気楽に書いていこうと思っています。

今年は昨日3月24日が旧暦2月15日でしたが、満月の日は必ず旧暦15日ともかぎらないので、今回の満月は旧暦2月16日の今日だそうです。

 

が、いずれにせよ、この2、3日が満月に近い時期で、一昨日の3月23日の月は、少しだけ左側が欠けていました。

 

が、おもしろいことに、東の空に昇ってまもないときの月をながめたら、「左側」というよりは「下側」が欠けた状態にみえたのです。

 

それを眺めてわたしは「ああ、この季節、夕方には真東と真西の空で黄道が地平線に対して切り立っているからだなあ」と、天球儀のイメージを思い出しながら考えました。

 

黄道が天のどの位置に来るかは、季節と時刻の2つの要因に依存して刻々と変わるので、「今、黄道はどこを通っているか?」と聞かれてすぐに答えられる人は、かなりの天文マニアです。

小説『星空はいつも』(7) | MTFのAkemiのblog イタリア児童文学・皆既日食・足摺岬が好き (ameblo.jp)

 

が、春分前後の日没時に黄道がどこにあるかだけなら、わりと簡単なので、わたしでも知っています。

 

↓この動画が天の赤道に対する黄道の関係を、春分という季節との関係で絵に描いてみせており、それを見ると、かなり理解できます(ただし、この人、科学的な天文学よりは星占いのほうに関心がある人のようですが)。

天球の図を見て春分点の話をする② 春分点もドラゴンヘッドも昇交点と分かってうれしい (youtube.com)

 

春分の日没時には春分点が西の地平線にきて、そこがちょうど、「黄道が赤道に対して南半球から北半球へと突き抜けるかたちで交わる点」=「昇交点」になっているので、北緯35~6°にある東京へんからみると、西空で黄道は地平線に対して強く立ち上がり(90°ー35.6°+23.4°=78.8°と概算できる)、垂直に近くなっています。そして子午線上の天頂付近に黄道の夏至点がきます。東の空の黄道のかたちは、子午線をはさんでそれと対称になり、東の地平線のところ(そこに黄道の秋分点が重なっている)で、やはり同じ角度(約79°)で立ち上がっています。

 

そして、月は、ほぼ(正確にではないが)黄道上を、ひと月で1回転するように西から東へ動き、新月~上弦~満月~下弦~新月のときにそれぞれ、太陽から東に0°~90°~180°~270°~360°という位置に来ますので、満月より少し前には、月は黄道上で太陽から東に150°~170°あたりにいます。

 

一昨日の夕方、わたしが、ちょうど日の沈むころに東の空にかかっている月をみたときには、たぶん、月は黄道上の、春分点から150°~160°あたりにのところにいたと思われます。そのへんで黄道は地平線に対して垂直に近く立ち上がっていたため、月は「左側」というよりも「下側」が欠けてみえたのです。

 

一面に広がる菜の花畑の上で、ほぼ真東の空に月がすでに昇って、黄色く光を帯びはじめているときに(お月さんも菜の花と同じ色)、大きくふりかえると、沈む寸前の太陽が真西の地平線上にまだ見えている。……こんな情景の中に、冬の寒さから解放されたのびやかさを感じて取って詠んだのが、有名な「菜の花や月は東に日は西に」という俳句だったのでしょう。