さて、夜の校舎内で。
「やっぱ怖いな…こう歩いてみると」
薄暗い廊下を歩き、大家は呟いた

やがて3人は職員室の前についた、大家はふと、ある事を思い出した、そのせいで思わず立ち止まってしまう。

「大家、どした?」
前田は聞く

「う、うん」
大家は唾を飲み込んで言った

「嫌な事思い出しちゃって」

「父兄参観でウンコ漏らした事か」
と、前田

「過去を捏造しないでくれる?」
と、言って大家は続けた

「あれだよ…秋葉高校七不思議」

「七不思議?」
と、前田は首を傾げた

「前田さんは知らないか、秋葉七不思議の事、実は…」
と、大家が口を開いた瞬間、スッと王神の手が伸びて、大家の口を塞ぐ

「ちょ、何すかいきなり!」
大家は王神の手を払いのけた

「うるせー馬鹿」
王神は何だか落ち着かない

「てか、んな話聞きたかねぇし」

「先生、怖いんですか?」

「何が?」
王神の声は上擦っていた

「怖い話とか」

「馬鹿野郎、誰が北斗七星怖がるかよ、ケンシロウから離れたら無力だよ」

「いや、北斗七星じゃなくて、先生意外と怖がりなんですね」
常日頃王神にいじられている為、今のこの状態は愉快で仕方ない

「だから怖くね…」
その時、前田が叫んだ

「あ!、あんな所にマツコ・デラックスが!」
直後、王神はゴミ箱に顔を突っ込んだ

「ほら、フルスイングでビビってる」

「ちげーよ!、ここからナルニア国が見えたんだよ」

「いいですね?」
大家が聞いた

「何が?」

「七不思議の職員室の話をしても」

「良いぜ…聞いてやるよ、その七曲署の話」

「七不思議ね、私、刑事の知り合いいませんから」
大家は咳払いをして話始める

「深夜…誰もいないハズの職員室から同僚の苛めで自殺した教師が泣いている 怪奇、職員室からのむせび泣きって話です」
と大家が王神に顔を向ける

「けっ、何が喘ぎ声だ」
と、王神は吐き捨てる

「いや、むせび泣きね」

「大体、聞いた奴いんの?、それ」

「それは…」
大家は口ごもる

「ほらな、いねー、デマだよデマ」

「でも、ひょっとしたら…」

「ないない、嘘、大袈裟」
王神は強引に打ち切る、その時

うぅ…、不意に聞こえた、むせび泣く声

サーッと青ざめる3人、株価のようにトーン大暴落

「先生…これって」

「バ、馬鹿…何かの間違いだよ」

うぅ…うぅ…

「聞こえてんじゃないすか」
言いながら、大家は激しく後悔していた

「む、むせび泣きが怖くてジャンプが読めるか」
三人はとりあえず職員室に向かった、そして、王神は引き戸に手をかけ、二人を振り返り、行くぞと目で聞き、王神はガラッと引き戸を開け放った

午後九時、秋葉高校の正門前

こわっ、と大家は思う、夜の学校マジこわっ…。

スライド式の鉄の校門の向こうには、なんか…ラスボスくんじゃね?、的な雰囲気が出ている

だが大家は入らねばならない、忘れ物を取りに行く為に。

大家は校門に手をかけた、校門の高さは大家の首の付け根辺り、乗り越えられない高さでは無い

大家は勇気を出して校門を掴む両手に力を込め、体を持ち上げる、その瞬間だった

「何してんだ、コラァ!」
突然、鋭い声が

驚いた大家は尻から地に落下する、大家の中に痛みと恐怖の二重奏が響く

「何、こんなとこで」
立っていたのは、前田だった

「前田さん!」
大家は立ち上がった

「何すんの、驚くじゃん!、君のせいでときめいてないのに、胸が張り裂けそうになったよ!」

「この不法侵入が」
前田に反省の色はない

「私は忘れ物を取りにきただけ」
すると、前田は大家の胸ぐらを掴んできた

「馬鹿者!、人生の忘れ物ってのは気付いた時はもう手遅れなんだよ!」

「わかんねーよ、ノリが」
つっこむ大家には構わず

「まさか、私と同じ目的だったとはな」

「前田さんも忘れ物?、だったら一緒に行かない、心細いし」

「嫌!」
と、前田は自分の肩を抱く

「体育倉庫に追い詰めて何するつもり?」

「私、女だけど」

「男は狼の皮を被ったケダモノよ」

「被る必要ないじゃん!、それ」

「行こ、ね」

「わかったよ」
前田さんも同意した

「ヨイショ」
と二人は校門に手をかけた

「学校はラブホじゃねぇぞ、コラァ!」
驚いて二人は校門から手を放す

「オイオイ、お二方、夜の学校で不純異性交遊?、尾崎豊が泣くぞ」
現れたのは王神だった

「んな事しないです!、驚かさないで下さいよ」

「てか、何してんの?」

「忘れ物取りにきたんですよ」

「忘れ物?」
王神は目を細める

「俺と同じじゃん」

「先生も?」

「ジャンプ職員室に置いてきた」

「ジャンプですか…」
王神らしいなと大家は思う

「お前らは?」

「AYAKAの新曲のCD」
と、大家

「納豆巻き」
と前田

「まぁ…お前ららしいな、三人顔合わせたんだし、忘れ物ツアーと行こうや」

「嫌!、夜の図工室に連れ込んで二人がかりでどうするつもり!」
と、前田は自分の肩を抱くが、二人は無視して校門に手をかける

「バレちゃ仕方ねぇ」
王神は全く悪びれる様子はない

「やっぱ、最低すね」
と、松原

「あっちの体力削るか、交代、前田!」

「ほい」

「7点取れ」

「いや、無理」

「5点までなら」
と、前田さんはマジ顔で

「無理、ルール把握しろ、あんたら」
と、松原のつっこみを背に前田さんは向かう

「いくぞコラ!」
と、威嚇するが、その手には毬が握られていた

「ボールにして、やりにくいし」
という冷えたつっこみで前田さんはベンチに戻る

「つめてーぞ!、もっと激しくつっこめや!」
と、野次る王神はバスケをする気はないのかも

早めに諦めるだろう、仲川は思った

だが仲川の予想は外れた

寄せ集めのAKB組の連中は意外に、栄に食らいついた

ケチャップシューズを封じた宮澤は、その後も素人にしては素早い動きで敵を翻弄した

増田さんや大島さんは中々のパス回しで松原をカバーし、地道に点を稼ぎ

内田、片山、田名部の3人は完璧とは言えないが守備で中々敵のボールを弾いていった

そして何よりエイリアン秋元さんはノーコンだが敵を戦意喪失させ、守備をがら空きにする

強豪の栄の横綱相撲が予想されたが、残り時間5分で16対13だった

「増田、ボールを宮澤と思って思いっきりいけ、何なら今行く?」

「先生、殺人教唆です、あとマジで叩こうとするな増田」
と、静かに怒る宮澤

すると、増田さんはファールからのフリースローに成功した

次のフリースロー

「先生…私にも何か…」

エイリアン秋元さんは怖い顔でアドバイスを求む

「点取ってくれないかな…」

「了解しました」

と、エイリアン秋元さんはボールを投げると天井を突き破り一周し、また突き破りゴールした、そしてまたフリースロー

「すいません、もう右手が」
と、松原は顔をしかめる

「無理ないすよ、殆どのシュートは部長が投げてるし」
と、労るように内田が言う

「じゃ次は左手で…」

「無茶言うな、鬼か!」

王神はちょっと考えると
「交代、仲川!」
という王神の声に、仲川は我に返る

「いけっか?」
と、王神

「先生…私は」
仲川は断ろうとした瞬間、松原が仲川に話しかける

「ねぇ…肩に力入りすぎ、気楽に投げない?」

仲川は黙り、そして頭で気楽にという言葉を繰り返す
「私やります」

「一つ頼む」

「ふぅ、いくぞ、気楽に…」
と、仲川は額の汗を拭うと、ボールを投げた

すると、ずっと見たかった光景が仲川の目に飛び込んだ

そして次は大家のフリースロー、これを入れたら勝ち、でも大家は外した、これで同点

「ゴメン…みんな」

誰も口を聞いてくれなかった、むしろ殴って

体育館裏、松原と王神は話していた
「大健闘ですよ、引き分けなんて」

「勝ちたかったんだけどな」

「勝てなかったんだから、4千円返して下さいよ」

「引き分けだから2千円な」

「何主導権握ってんですか」

「キツいな、この時期の3千円は」

「やっぱ、最低すね、あんた」

1ヶ月後
仲川は隣町の高校との練習試合で、仲川は完封勝利した