「七不思議、ラストですよ」

現在、一行が向かってるのは屋上である

そこで深夜の屋上に現れる「男子生徒の悪霊」、これを確かめれば、晴れてツアーは終了となる

だが3人の足取りはかなり重い、6つ目がエイリアン秋元さんだったのが原因だろう

「まぁ…賭けは俺の勝ちになりそうだな」
ニヤニヤと王神は言う

「まだラストがあるさね!」
そう返す前田

「はぁ…じゃ、行きますよ」
と言う大家の声には緊張感なしだ

「いいぜ、第一うちは女子高なんだから、メンズがいる訳ねーよ」
王神は頭を掻きながら

「悪霊、悪霊、悪霊」

二人の声の後、大家は扉を押し開けた

「ん?…!!、いる…」
大家は身を固くした

全くの予想外、センター分けで小柄の少年がこちらを向いた

「悪霊…?」

「いや、生きてる筈だ」
3人が地面に足を踏み込んだ瞬間

「来るな!」

ただならぬ事態だった、誰も自殺と出くわすとは思わないし、彼の名前も顔も知らない

「賭けは俺の勝ちじゃね?」

「畜生!」

「言ってる場合ですか!、止めないと!」

「分かったよ、おい君、一応自殺の理由聞いていいか?」

「それは…」

少年は喋り出した、上がらない偏差値、ライバルに囲まれる重圧、出来のいい弟と比較する親と教師、つまりは受験の重圧に疲れ果てた、という訳

「ベタな理由だな、とにかく目の前で死なれたら俺の責任問題なんだわ、観念してこっちこいや」

「だから…来るな!」
王神の足が止まる、少年と王神の距離は4.5メートルだ、二人の間に沈黙が流れる

「じゃ、死ねば?」

少年、大家、前田、はぎょっとする

「飛ぶんだろ、さっさと飛べよ、一応確認だけど落ちたら痛てーぞ」
王神は平然と告げる

「ちょっと…先生!」大家は叫ぶ

「だーってろ」

「はぁ…はぁ…はぁ…」
少年が振り返った瞬間、王神はジャンプを落とし、普段のけだるさからは想像もつかないスピードで走り出した

少年が振り返った頃には王神は彼の肩を掴み、地面に引き落とした、そこへ大家と前田も駆けつける

「あぁ…な、何で!」
言い終わらない内に王神は少年に平手打ちをする

少年は頬を押さえ、俯いた、王神は煙草をくわえ、火を付けると、ジャンプを拾った

「お前、ジャンプ読んでる?」

少年は無言で頷いた

「ジャンプって良いよな」

また頷いた

「今週号読んだか?」
「まだ…です」
ようやく少年は声を出した

「じゃ、やるよ、今週号」

王神は少年の手に無理やりジャンプを持たせ、言った

「何てか…漫画とか映画とかテレビとかがおもしれーって思える内は死なねー方がいいと思うぜ」

少年は無言だったが、微かに頷いた

「て、事だ」

王神は少年の肩を一つ叩き、歩き出した

「先生が良いんですか?、ジャンプ」

「同じの買うよ」

「結局ですか…」

うるせーアホって言われるかなと思った

「うるせークソアホ」

もっと酷い言い方で来た


「ありがとう…ありがとう…、」

少年は肩をひくつかせて嗚咽を漏らし、泣いて泣いて

そして消えた


「何が七不思議だ、結局変態オチじゃねぇか」
怒っているのは王神だ、場所は家庭科室、現在は3人共忘れ物を回収した、前田は家庭科室に忘れた納豆巻きをくっちゃくっちゃと咀嚼していた

「ま、いいか、とっとこ帰ろーぜ」
まとめるように王神は言った

「そっすね」
と、大家

「待ちねい!、まだ五不思議残ってる、こうなったら全ての不思議を解き明かしてやろうじゃないか」

と前田は二人に向かって言った

「はー?」
と、王神と大家は口を開けた

「本物があるやもしれんぞ、是非体験したいのだよ」
と、前田は続けた

「ねーよ」
と、王神

「ある!」

「だからねーよ、賭けていいぜ、どうせ残りもしょうもないオチだよ」
王神はせせら笑いながら

「じゃあ先公よ、賭けようじゃねぇか」
急に前田さんは乱暴な口調に

「もし残りに本物があったら…おかめ納豆奢れや」

「それだけ?」

「じゃ、他全部しょうもないオチだったら…来週のジャンプ買う金、奢れや」

「そんだけ?」

「よーし決まったな」
と、二人は笑う

「私は付き合いませんからね」
大家は帰ろうとする

「待ちねい、おめーも行くんだよ、おめーはこの七不思議を解明する為にこの世に生を受けたんだろう?」

「嫌だわ!、んなローカルな宿命」

なだめられ、小突かれ、つねられ、大家は結局付き合う事に

が、座薬挿入教師、変態椅子女、このツアーは次々とお馬鹿な真相を明らかにして行く

例えば「深夜の音楽室から聞こえるピアノの音」は片山さんとコバヤシが夜中に連弾してたって事

「何してんのあんたら!」
と、大家の突っ込み

あるいは「美術室の亡霊」は夜な夜な増田さんが柏木さんに向かって亀甲縛りをしてたってオチ
「家でやれ、変態」
と冷たい王神の突っ込み

それから「体育館に潜む殺人鬼」は必死でカバディをする指原莉乃で

「これ初登場だけどいいの?」
と王神の労るような突っ込み

そして「飼育小屋に現れる謎の生物」には

「これはコモリだよ」
「まぁコバヤシは登場済みですしね」

緊張感なく飼育小屋に行ってみたら、そこにエイリアン秋元さんがウサギの世話をしているのに出くわし、3人共腰を抜かした

「イヤァ、最近ウサ吉の具合が悪くて、ほら、ウサギは寂しいと寿命が縮まるって言うでしょう?」

「そ、そうね、僕達の寿命は縮めないでね…」

3人はガタガタと震えるしかなかった

ともあれ、七不思議の6つはこんな具合に解明された



悪霊退散!、アッチョンブリケ!、3時のおやつはまりやんぬ!

バラバラに叫びながら職員室に入る

そして3人はむせび泣きの主を見た

「け、ケンドー先生!」

秋葉高校の体育教師、ケンドー先生だった、椅子の上に膝立ちになり、下半身を丸出しにして、手に座薬をつまんでる

「家でやれ!」
と、大家は当然の指摘

「実は俺、家の人には内緒なの」

「それで?、夜の職員室で泣きながら座薬挿入?」

「いや、驚かしてすまないな」
ケツ剥き出しのままケンドーは詫びる

「別の意味で驚いたわ!」
王神は思いっきりケンドーを蹴った

床に倒れたイボ痔野郎に3人はストンピングの嵐

何がむせび泣きだ!、死ねボケ!、てかお前のケツにはネギ刺してやる!、あっネギあった!

「わ!、ちょ!、染みるって!、ぐあ!」
てな訳で七不思議の一つは正体を暴かれた

「何だよ、蓋開けりゃ、ただのイボ痔じゃねぇか」

階段を上りながらジャンプを抱えた王神が言う

「偶々かもしれないですよ、まだ6つありますし」
と、大家

「他には何があんだよ」
と、前田が聞く

「こんなのがあるよ、深夜、誰もいないハズの教室からラップ音が聞こえてくる…て、奴」

「ラップ音って…チェケラッチョみたいな?」
前田はラッパーの真似をしながら

「ベタすぎて逆に綺麗だよ、ラップ音は誰もいない部屋から物音が聞こえる現象だよ」

「けっ、ラップだかファックだか知らねーが、只の音だろ」

ガタガタ…

廊下を進んでいた三人の足がピタリと止まる

間違いラップ音だ…音はAKB組から聞こえる

「先生…」

「じゃ、ここは任した」

「家庭科室行ってくる」

王神と前田は背を向ける

「ちょっと!、ジャンプには付き合ったでしょ、私のにも」

「てか俺、イケてるリリック思いついたから、メモんないと」
と、王神が言い

「♪ソウソウ、俺達ゃ多忙、お前は無謀、行きたきゃお前だけレッツゴー」
と前田も悪のり

「ざけんな、エセラッパー共!」
大家は二人を掴んだ

「分かったよ」
と、二人は渋々言いながら、AKB組の引き戸の前に三人は立つ

そして大家は一気に引き戸を開けた、いた、ラップ音の正体が。

「これは…」
大家は呻いた

三人が見たのは一人の女子生徒で、そいつはある女子生徒の椅子に頬擦りしている

「はるにゃ~ん、んふ」
小嶋陽菜の椅子に頬擦りしているのは紛れもない大島優子だった、彼女が頬擦りしているせいでラップ音がしていたのだ

「何してんの?」
と、軽蔑の眼差しで大島に話し掛ける

「あんたら…どうして…!」

「どうしてじゃねぇよ、夜の教室で椅子に頬擦りって、お前の青春それでいいのか?」

「違うんですよ、実は私、将来椅子職人になりたくて…材質チェックを」

「材質チェックねぇ…頬で」

「頬が一番、木目の風合いを…」

「チェックなら、頭だろう?」

「頭?」
大島さんはうろたえる

「材質チェケラ!」
と、王神は椅子を振り下ろす

「うわっ!」
大島さんは辛うじてかわすが瞬間、三人のストンピングの嵐

ふざけんな!、ボケ!、何がラップ音だ!、テメーはゲップ音で充分だ!、ゲフゥ!。

「何これ!、暴力とゲップのコラボ?、てかゲップ納豆臭っ!、ぐあぁ~!」
こうしてまた、不思議が改名された