負ける…そしてその予想は他の3人の本家部員も同じ、勝とうと思ってるのは部長くらいだ。

まず仲川は監督代行として王神が来た時点で諦めていた、先生と言えば、ひたむきとはかけ離れた存在、それに加え滅茶苦茶な練習の数々、AKB組の面々は風紀委員やエイリアン秋元さんは期待できそうだが後は何かダメそうな面々ばかり

でも私には関係ない、勝とうが負けようが私が出場する機会はない。

仲川は極度のスランプに陥っていた、仲川は1年の頃は期待のエースと言われていた、まぁ調子に乗っていた。

ある時の練習試合、フリースローでミスをした、その時はミスをしてもすぐに取り返せる試合展開だったにも関わらず、若気の至りだったのか、その時、相手選手に鼻で笑われた、一瞬でプライドが傷つけられブチ切れて大炎上

それ以来、仲川は長いスランプに陥った、試合でボールが怖くて自分から触れないという、致命的なスランプに。

さて、一週間、クレイジー王神の傍若無人な練習はラストだった。

「さて、これでお前達をいじ…教えてやる事は何もない」

「いや、いじめるって言おうとしたろあんた!」
と、激しくつっこむ大家

「さて、明日か…」
練習試合当日

試合場はなごやか体育館というお利口さんな体育館。

ここに秋葉と栄のバスケ部が揃った

どうみても秋葉の戦力は乏しい

てなわけで、双方のストレッチとかが終わり、両チーム整列し、互いに礼を交わす

「しば…試合開始!」審判は噛んじゃったがとにかく試合は始まった。

「けっ、アキバだが何だか知らないけど、何で私達がこんな格下と試合やんなきゃいけねえんだ」
と、矢神さん

その矢神さんの前には宮澤さんが

宮澤?、知らねーよ、面は綺麗だが、バスケは面でするもんじゃねぇ、ドラクエのスライム並に秒殺してやる

宮澤さんにパスが渡った、だが矢神さんは宮澤さんの異常な程鋭いステップにまかれる

「なっ…」
宮澤さんはニヤリと笑う

「何笑ってんだ…」
ベンチを見ると、アイツ大丈夫か?、みたいな目で控えが見てる

「ガタガタ言うなよ…」
と、矢神さんは宮澤さんの足元を見た、宮澤さんのシューズはテラテラとしていた

「タイム!」
と、矢神さんが言う

「こいつ、シューズに何か塗ってます!」
抗議を受けた審判は宮澤さんに告げた

「君、シューズを貸しなさい」
渋々宮澤さんはシューズを脱ぐ

「君、このシューズ、ヌルヌルじゃないか」

「そっか、ヌル、だろ」

「いや、ヌルヌルだよ」

「ヌ、くらいだよ」
と、内田も口を挟む

「さじ加減はいいんだよ!、塗ってるだろ」

「塗ってねーよ、朝食のケチャップがシューズに付着したんだよ」

「いや、確信犯だろ!」
矢神さんは宮澤さんのポケットを指差す

「持ってんじゃん!、ケチャップ」

「おやおや、さては母ちゃんだな、相手チームを料理しろって事かな」

「うまいけど腹立つ!」

このケチャップシューズで後半ギリまで行こうぜって王神の浅はかな考えは早くも散った
で、校庭である

王神を扇の要の位置として、AKB組の面々が集合した、と言っても王神が選抜したメンバー、大家、前田、大島、宮澤、増田、片山、エイリアン秋元、内田、田名部、そして罪の意識がない小嶋。

その面々から少し離れた場に数名の本家部員、つまり煮付けの被害を免れた部員達、ほぼ1.2年生だ、松原も見ている。

「揃ったな」
と、軽くバスケットボールをドリブルする王神

「先生」
と、大家が手を挙げる

「何だ、まだボケてねーぞ」

「いやその為に手挙げたんじゃなくて…いいです」

「では、出始めとして、掛け声の練習からやんぞ」
で、王神は声を張り上げる訳でもなく言った

「秋葉ーファイ、オー、ファイ、オー、ファイファイファイで、いく」
すると、早くも片山さんが挙手した

「先生、ファイファイファイじゃ逆に抜けてく感じです」
言われた王神は、珍しく片山さんの意見は一蹴しなかった

「じゃ、他にあるか?」

「先生!、こういうのはどうですか」前田さんが挙手する

「言ってみ」

「秋葉ーファイ、ファイ、オー、オー、ファイオ、オファイ」

「ヤケクソだな、言いにくいっしょ」
と、王神

「先生!」
と、次は増田さん

「よし、言ってみ」

「栄ー」

「他ねーか、無いなら俺のな」

「じゃ、私のどうです!?」
と、大島さんが挙手する

「もしつまんなかったら、ケツにシュートすっからな」
と、大島さんにボールを向けると、大島さんは手を下げた

「ねーのか、なかったら俺の 秋葉ーイエスノー、イエスノー、イエス、ノーノーにすんぞ」

「さっきと違うじゃないですか!」
大家がつっこむと端から本家部員が出てきた

「先生…あの、伝統的な掛け声があるんですけど」

「じゃ練習すんぞー」
と、王神

「聞いてやれよ!」

大家は大丈夫なんだろうかと心配になった

でもって本格的な練習が始まったのだが、仕切るのが王神、まともな訳ないので

「おらー!、飛んでくる球が一つとは限らねーぞ」
王神はボールを二つ同時に投げる

「限りますよ!」
と、宮澤さん

「何、よけてんだ大島!、プロの球はこんくらいのスピードだ」
機械でボールを乱射する

「プロ目指してません!、殺す気ですか」と、大島さん

「おら、炒飯はちゃんとドリブルしろ」

「できるか!」
と、田名部さん

「内田ぁ、グラサンはちゃんとキャッチしろ」

「どわっ!、レンズ粉々じゃないですか」

負けるんだろな…と、AKB組のバスケ部員、仲川遥香は思っていた。


松原率いる秋葉高校バスケ部は中々強いと定評のある部だった。

で、結構強い訳だから、それなりに女子の注目も集める訳で、あと今更だけどここ女子校だし。

だから××さん、タオルです、みたいな、そういう差し入れってのは、喜べないブツもあったりする。

それはAKB組の松原と仲川が、席を外していた時の事だった

「これ、家庭科の時間に作ったんです、良かったらどうぞ」
と、タッパーに入れた奇妙なブツを持ってきた生徒…小嶋陽菜である

「鯛の煮付けです」

「これホルマリン漬けの間違いじゃね?」

「てか、差し入れに鯛の煮付けって」

差し出されたブツにバスケ部の面々は囁きあった、それほどまでに彼女の鯛の煮付けは鯛の煮付けっぽくなかったのだ

が、彼女達はそれを食べた、食べなきゃ許してくれなさそうだし、それが悪夢の始まりだった

小嶋の鯛の煮付けは腹の中を生き返ったかのようにのたうち回り、上も下も大暴れ、大半が緊急入院する事に

バスケ部は食中毒で ほぼ全滅、これはキツい事態だった 実は来週、栄高校との練習試合があった。

「てなわけ」
と、言って王神は教室を出ようとする

「いや、待て!」
と、大家は立ち上がった

「それに私達が駆り出されなきゃいけないんですか!」

「仕方ねぇだろ、元凶は小嶋がホルマリン漬けを差し入れちゃった事が 痰 端を発してんだから」

「そこです!」
と、言って大家は斜め後ろの席の小嶋に顔を振り向けた

「何でそんな事したんですか、柄にもない」

「持ち帰るの面倒だったの」

「そんだけかよ」

「先生も、どうして引き受けたんですか」

「てか、俺松原から4千円借りてんだよね」

「生徒に金借りてたのかあんた!」

「クラスメイトのピンチだろ助けてやれ」

「まぁ…それは」

教室を出ようとする王神は最後に

「お前らその試合絶対勝てよ」

クラスはえっ?という顔をする

「勝てなきゃ、俺の授業、縄跳びしながら、百人一首詠ますから」

「またですか!、てかその罰の目的が読めないんですけど」

「知力、体力、時の運が養われる」

「運は無理でしょ、運は」

「とにかく勝ったら、松原が俺の借金チャラにしてくれるから、放課後全員校庭に集合!、以上」