幻の試作戦車模型 木製 五式中戦車 エルエス | 「模型探偵団」明石小五郎の昭和のプラモデル

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   幻の試作戦車模型 木製 五式中戦車 エルエス

 

さて、東京支部が家宝?としている模型としてこの戦車模型がある、

この戦車を見てその正体がおわかりになる方は絶対にいらっしゃらないだろう、

その正体は、タイトルのとおり、「幻の試作戦車模型 木製 五式中戦車」、メーカーはエルエス、

もちろん、試作品なので世の中には出回ることはなかった、おそらくエルエスがプラモデルとして企画した五式中戦車の木製の試作模型品として作ったものと考えられる、

木製でないのはプラギア、スプリング、ゴムキャタピラのみであとは全て木製となっている、

数年前に紹介していたが、今回あらたにまとめてみた、

 

ゴムキャタピラ製作の受注第一号!!、である、

 

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そう、このボロボロのキャタピラはその五式中戦車のもの、50年以上も経っているので炭化して

ボロボロ、この五式中戦車を走らせたいというのでゴムキャタピラを作ることになった、

今回がゴムキャタピラ受注第一号となった、(笑)

 

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一番手がかかるゴムキャタピラのパターン、

 
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いつもの通り、切ったり、細かく裁断したり、
 
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そして、それらをセメダインの靴底補修剤で貼りつけたり、
 
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かなり細かい根気のいる仕事でも、もう僕としては大して苦になならない、
その根気を苦と思わず、楽しめば良い、そう、苦あれば楽あり、(ちと意味が違うか)
 
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ついでに、動くように修理も行っている、
ここまで、ゴムキャタピラの進捗状況はおよそ7割方くらい、

 

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文様が複雑なので今までで最高の手数と時間を要する、

 

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転輪からなにもかも全てが木製、とても信じられない、

 

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この画像で戦車名だけはわかるだろう、この異様なまでの機銃、いや37ミリ砲なのでデカイ、

 

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ゴムキャタピラをほぼ9割方作り終えた、何と言っても靴底補修剤が乾くまで一晩寝かせないとい

けないので日数を要してしまう、それと今までで最高の難易度だったので最高の日数を要してし

まった、 そこで、試に戦車本体にキャタピラを片方だけ架けてみた、

 

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う~ん、ピッタリである、ただ、キャタピラが外れずに回らなければならない、

試に、スイッチを入れてモーターを動かしてみた、外れずにスムーズに回ってくれる、

 

驚くことに、全てオール可動、ハッチ、エンジン扉などは全て開閉可能、

主砲、副砲の37ミリ砲は上下に可動、砲弾も発射可能、

しかも、転輪もシーソー式で動くようになっている、

 

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この強力な75ミリ砲と、異様な大きさの7、7ミリ機銃の横の副砲である37ミリ砲、

そして、特徴的な主砲とその駐退機、

 

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全てのハッチ、エンジン扉等は開閉する、主砲も副砲も上下に可動、転輪は独立懸架、そうシー

ソー式になって動く、砲弾発射も行う、

 

そして、この大きさ、単1電池と比較してもよくわかるように手の平に乗っかるサイズ、

 

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砲弾の装填口はここからスプリングを押し込んでから砲弾を装填して引き金を引いて発射、

 

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もう何もかも全てが木製である、転輪はシーソー式の独立懸架、

 

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単3電池2個を使用、ギアボックスの箱ももちろん木製、ギアはプラギア、しかしまだ生きている、

 

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逆転スイッチも木製、しつこいが全てが木製、もう、芸術品、

 

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だけど、プラギアなのでいつスカスカになったり、割れたりするかヒヤヒヤもの、

 

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裏を返して見ると、これがまた凝った仕掛けとなっている、

 

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主砲の中にはスプリングが入って発射装置が仕込まれている、

アッ、プラ製があった、この爪が付いた留め金とスプリングに付いたボッチ、これだけがプラ製、そう、留め金のアームはしなるような素材でないといけないから、

 

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スプリングを主砲の筒の奥に押し込んでからここから砲弾を装填、そして、引き金を引くと、

いや、押すと砲弾が発射される、

 

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その操作は、この駐退機によって行う、そう、この大き目の駐退機はダテではない、

左の駐退機を押すと主砲の中のスプリングが奥に押し込まれ、カチッと留め金に引っ掛かる、

右の駐退機を押すと留め金が外れてプシュッ、と砲弾が発射される、ハズである、

ハズと言うのは、怖くて実際に試していない、左の駐退機を押してスプリングを押し下げてみると

ころまでは試してみたが、発射までは実際にやっていない、ただ間違いなく作動するはずである、

なんと言っても発射した時の振動のショック等で壊れたら怖い、

 

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それにしても、木製でどうやってこのように作るのか素人の僕にはわからない、

僕のよう部品の貼りつけではなく、金型でやったような仕上がり、

 

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こんなにも薄い板、50年以上も経ってこんなに薄いのにまったく反りがない、

プラスチックなら金型にプラを注入して文様は作れるが薄い板でどうやって作ったのだろう、

まさか彫刻刀ではないだろう、

 

 

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実車の五式中戦車のデータからいくと、およそ1/50くらいになるだろう、

そう、1/50の戦車プラモといったらエルエスの戦車シリーズがあった、

 

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これも依頼者からの借り物、これも作って遊んでいいよと仰っているので作ってみるか、

 

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エルエスは日本陸軍の戦車が好きだったようで、1/50シリーズでいくつかの日本軍戦車を発売

していた、

 

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この九七式中戦車をはじめてして、

 

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このように何種類かのプラモを発売していた、

 

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箱の側面を注意深く見ると、五式中戦車が、しかしなぜか、この五式中戦車はついに発売されることはなかった、そう、シリーズ化されながらも幻の戦車プラモとなってしまった、

おそらく、この木製五式中戦車はこの試作品であったのだろう、

  

アッ、そうそう、それよりも走らせてみないと、  

 

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今でもこのような模型を作れる職人さんが存在したら、ぜひその製作過程を見てみたいもの

である、

 

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1/50であろうと思われるので、同じ1/50のエルエスの九七式中戦車と比べてみた、

実車はかなり大きかったことが伺われる、そして強力な武装の75ミリ砲と副砲の37ミリ砲、そし

て7,7ミリ機銃、砲塔も手回しではなく電動モーターで回転させたという、もし、実戦配備されて

いたらM4シャーマンとどのような戦いをしたのか、なかなか興味深い幻の戦車である、

 

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もう、とにかくこの木製の戦車模型の作りが凄い、ボディーもピッタリと隙間なく合う、

前面にはちゃんと留め金まで付いている、もちろんこれも木製、

 

プラモデルでもこうはいかない、

 

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後部もこのようにピッタリと、寸部の狂いもなく、もう半世紀以上も経っているのに、

 

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実はこの砲塔ハッチも凄い、

 

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なんと、このような二つ折りに、

 

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木製でしかもこんなに小さいハッチに蝶番を付けるなんて人間業とは思われないほどの職人技、

 

ところが、走らせようとして大失敗を犯してしまった、

 

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ゴムキャタピラの厚みが、このようにキャタピラが少し厚すぎて上部のボディーに当たってキャタピ

ラがスムーズの回らない、ぎゃ~、せっかくここまで作ったのに、僕としたことが大失敗、

もうちょっと薄く作り直ししないといけない、

 

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5式中戦車のゴムキャタピラをまもなく作り終える、あと、もう片方のキャタピラを繋ぐと完了、

実を言うと、このキャタピラで3度目なのである、1度目がすでに紹介していたようにキャタピラが

厚すぎて上部ボディーを被せた時にキャタピラが当たって擦れて摩擦の抵抗でスムーズに回らな

かった、それで今度はそれよりも薄く作ったがそれでも厚すぎた、

 

3度目で今度はそれよりももっと薄く作って、これでやっと上部ボディーに擦ることなく、スムーズ

に回るようになったということである、

 

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左が最初に作ったキャタピラで、普通に今までの感じで作ったところ厚みが厚かった、

ま、ギザギザのスリップ止めから表面の文様までの厚さがおよそ3ミリ、

その右が2度目のキャタピラで、それより0、5ミリ薄く作って2、5ミリほど、

それでもダメ、それで今度は厚みを2ミリほどに薄くして作った、

 

そう、ギザギザのスリップ止めから表面の文様まで0,5ミリのゴムを4枚重ねである、

 

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左が2度目のもので厚さが2、5ミリ、右が3度目の厚さが2ミリのもので、これでやっとOK,

 

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小さいキャタピラなので結構手間がかかった、ま、しかし、手先を細かく使うのでボケ防止のため

には結構役にたったのでは、

 

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そこで、オリジナルの元々この戦車に付いていたボロボロのキャタピラと比べてみると、

左のオリジナルのキャタピラの厚さはおよそ2、5ミリ、多分新品の頃はそれよりももっと厚かった

だろう、右が今回作ったキャタピラ、画像だけでもなんとなく、それよりも薄いことがわかるだろう、

 

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次に、内部のギアボックスに注目、

 

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このようなギアの組み合わせのギアボックスは他の戦車プラモにはほとんど見当たらない、

 

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そこで、今度はエルエスの1/50シリーズの九七式中戦車の箱を見てみると、

 

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1式砲戦車、1式中戦車、3式中戦車、

 

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そして、5式中戦車、となっている、しかし、この5式中戦車はこのように発売予告はなされたもの

の発売されることはなかった、

 

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キットの中を見てみると、

 

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逆転スイッチは横っ腹から突き出すように、

 

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逆転スイッチの取り付け位置などもまったく五式戦車と同じ、

 

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そして何と言っても、このギアボックスも五式戦車とまったく同じである、

やっぱりこの五式中戦車はプラモデル化する上での試作模型であったと確信が持てる、

 

なぜ、5式中戦車はラインナップに加えながら発売されることがなかったのだろうか、

それは、2,5ミリを超えるゴムキャタピラでは厚すぎて走らせることができなかったからである(大笑)、

いや、あながち冗談ではないかも、

 

アッ、早くキャタピラを完成させて走らせてみよう

五式中戦車のゴムキャタピラが完成した、

 

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先の記事でも紹介したようにキャタピラの製作は3度目の正直となった、

 

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そう、キャタピラは思いっきり薄くしないと上部ボディーのフェンダーに当たって擦れてスムーズに

回らない、ゴムなのでフェンダーに擦ると摩擦の抵抗でちゃんと回らない、

 

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ボロボロになった元々のオリジナルのゴムキャタピラでは2、5ミリほどの厚みがあり、これではス

ムーズには回らない、製作した右のキャタピラは厚さ2ミリにして作った、もうこれ以上薄く作るこ

とはできない、まあ、もっとも表面等に文様を付けないツルツルののっぺらぼうにすれば可能であ

るが、

 

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試にオリジナルのキャタピラを架けてみよう、

 

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このように、上部フェンダーに擦れてしまう、ま、前輪駆動ならキャタピラを引っ張る状態になる

が、これは後輪駆動なのでキャタピラが回ると上の方に浮く状態になるので余計にフェンダーに

当たる状態となってしまう、おそらく、この試作品は上部ボディーを被せた状態では走らせること

はできなかったことと思われる、

 

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それから、もう一つ付け加える仕掛けがある、実はこの37ミリ砲、これも砲弾が発射できる、

 

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今はこの37ミリ砲の筒の中にスプリングは入っていないが、この中にスプリングを入れると砲弾

が発射できる、砲弾は砲口からの先込式で筒の中に押し込んでこの爪に引っ掛ける、

 

 

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そして、このボッチを押すと爪が外れて砲弾発射となる、まあしかし、よくも1/50の小さな戦車模

型に盛りだくさんの仕掛けを組み込んだこのである、

もちろん、砲弾発射を試してはいない、下手にいじって壊れたらそれこそ大変、

自分の物だったら、ドンドンいじって試してみるが、

 

それでは、発売されることのなかった試作品の五式中戦車の史上初?の動きをご覧あれ。