地中戦車のこと、 | 「模型探偵団」明石小五郎の昭和のプラモデル

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昭和のプラモデルが好きなタダのジジイです、上から目線で書いてます、日本初のプラモデルメーカー、㈱日本プラスチックなど、真実のプラモデルの歴史を書いてます。

先日は僕と同い年の火野正平さんのことを書いたが、今日は僕が生まれた年に亡くなられたSF作家の方のことを紹介してみたい、
その僕が生まれた昭和24年5月に亡くなられたSF作家の方が「海野十三」さんであった、
そう、戦前戦中において少年たちの間で圧倒的な人気を誇ったSF作家であった、
 
それで、その海野十三がもっとも得意?としていた地中戦車について書いてみよう、
 
地中戦車で有名なものといえば、もちろんサンダーバードに登場するジェットモグラタンクだろう、
 
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ところで、このような地中戦車なるものは一体何時ごろから空想されていたのだろうか、
外国では大正時代後期あたりからSF小説で、そのような類のタンクが出てくるが、日本
国内ではどうだったのだろうか、
 
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ここに、昭和8年11月に発行された少年倶楽部の付録冊子がある、この中に国内最古と言われている地中戦車なるものが描かれている、
 
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その前に、この空想画をご覧いただきたい、この未来戦の空想画も現代のことをピタリと
言い当てているから驚きである、
 
そして次に地中タンクなるものが描かれている、
 
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これが鈴木御水画伯が描いた地中戦車である、
これが国内最古の地中戦車のSF画であるとされている、
僕もこれより古い地中戦車のSF画は確認していない、一番面白いところは掘った土を後方から吐き出しているところである、
 

それから経つことちょうど7年、

海野十三は、「国防科学雑誌 機械化」において「未来の地下戦車長」を発表した、

それは、昭和15年11月から連載されている、

当時の青少年の間では、人気のSF小説だったらしく昭和17年には単行本になっている、

 

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その内容は、少年がある日、モグラを見て自分もあのように地中を掘りながら進む戦車を作りたいと軍隊に入り、試作機を作りながら試行錯誤し最後にはそれを完成させるという物語である、

 

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この小説ではその地下戦車が土をどのような方法で掘るのか、掘った土をどのように処理するのか、そしてどのように進んでいくのかを具体的に記述している、

 

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いろいろと試行錯誤しながら、最終的には次のような形となった、

 

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3本のドリルで掘り、キャタピラ走行で、掘った土は後方へ吐き出すという構造となっている、もちろん、胴体はドリルの円形よりも小さくなっている、

 

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これが一番現実的な方法だろう、ちゃんと掘った土を吐き出す「送泥器」なるものも付いている、当時としては素晴らしいアイディアではないだろうか、

さすが、海野十三である、

 

ところが、これだけでは終わらなかった、

 

この「未来の地下戦車長」を読んで、それに刺激を受け実際に地中戦車の設計図を制作した科学少年がいた、

 
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ここに、昭和19年8月に発行された「国民教育」という冊子がある、この目次をよく見ると、
 
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「地中戦車の発明」とある、
 
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そのページを開いてみた、なんでも地中戦車なるものを設計した少年がいることを聞きつけ
ある人がその少年に会いにいったらしい、
 
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なんと、今でいう小学4年生の科学少年が設計したというこだ、
あとは、その記事の一部分を載せているので読んでいただきたい、
 
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残念なことに、これにはその実際の設計図は載っていない、
一体どのような設計図だったのか非常に興味深い、
 
実は、その少年の名前を隠しているが、実際にネットでそのお名前を検索したらヒットした、
ただ、そのお方がこの当時の少年ご本人かどうかは確認していない、
氏名が同じで、年齢的にも、故郷も同じなようなので可能性としてはかなり大であるので氏名は隠した、今は科学者ではなく、そのお方は音楽家のようである。