ばばとお花見。
桜の下枝を引き寄せて触らせると、やはらかいいい匂いがすると云ふ。見えるのかなと聞くと見えないけれど、酔いつぶれるほどだ、アリガタイと幾度も呟く。花に酔へは去年の今年、故郷の山を遠方に、泡立ち飛花落花に桜花は光の絲を曳く。蜜吸い鳥が大枝を躁ぎ飛び交う。束の間の花の浄土が万朶と頭上に広がって、青の空、去年は点滴の管に繋がれていたばーさんが、今年は車椅子で花の下に戻って来た。生命(いのち)って不思議だね。一年を飛び越えて二年ぶりにははそはの母の歌、かって軍国少女の ♪青葉茂れる桜井の、を歌ってもらった。
倉石智證

























