青の螺髪。

蟻の字。

/門柱に寄りしタンポポそのまゝに

/まだかよと春を待つをの屈み見る

/トリセツを開いて閉じて芽掻き時季

/薔薇芽ぐむ痛いと云へば生(い)きのこと

/カルペディエム鍬の柄掴む畝立てる

「一日を摘め」「seize the day」

(その日をつかめ/この日をつかめ)

/春雨や瓦濡らしてゆく音の

/スズナ臺立てゝ来て風に鳴るや

/字を書けば春の仕業やばーさんの紙をはみ出す蟻の字になる

/ばあさんの頭(つむ)を取り巻く賢(かしこ)雲

ぐるり廻ればすぐ眠くなる

/チューリップの披く教える時分時

/ムスカリの青の螺髪(らほつ)の経を誦む

/ムスカリの経誦む青の螺髪かな

 

倉石智證