花火がドンと上がった
あっちの方に人がゐるらしい
花火玉を守っているのだ
川が煌めき立った
宙が蒼く冴えた
あっちの方に人がゐて
真っ暗闇の下
黙って何かを守ってゐる
こっちは夕飯の支度がいそがしく
手元もさまざまに賑やかだ
なにかを伝えなくてはいけないと思ふのだが
どうも静かな暗がりばかりが間に在って
畑の作物や果樹なども深としてゐる
眼が動物のやうに炯々と燁る
休戦協定だなんて
獣臭いな
暗闇のあちらの遠い距離を窺がう
堂々巡りだ
とうとうどうしてもと云はんばかりに
どうか無事であって欲しいと
花火がドンと上がった
倉石智證














