山梨、飯山、津南、湯沢、往還───。

折々は千曲川縁(べり)

折々は小布施、松代

折々は姨捨の丘

折々は松本盆地

諏訪湖へと、八つが迎える甲斐駒ヶ岳

往きてはまた帰る津南の道、

往来は漫ろに山の景色慰む

さあ、帰りなむいざ

故郷へ富士の白峰

 

倉石智證

野菜畝作りマルチング。

ばーさんのTV体操。

でっきるかな、出来たかな~。

/木の芽時季やぶからぼうと引き返す

/残雪や瀧音激し息烈し

/トンネルに吸い込まれゆく山笑ふ

/蕗の薹採った下処理かーさんの

/幾たびか常念のこと春の風

/肥料喰ひ云はれついでの元肥かな

/土筆坊ついツクチンコと云ひしまゝ

/木の芽時季靴下片方穴開いた

/畑では絹さやさやと涅槃風

/柿若葉和毛に風や日の光

/アスパラや背を真直ぐに採られけり

/ばーさんのむすんでひらいて首かしげTV体操若き娘の

でっきるかな、出来たかな~。

 

倉石智證

山菜採り。

こんにちわビール。

邯鄲一炊の夢。

/エドヒガン真ッ紅に咲いて雪の原

/穴まどい雪の洞から迷い出て

/山菜やす黑なりゆく爪の腹

/野奴の神楽となりて蕗の薹

/山菜採り翁は丘にフリーズする

/取りて来て雪折れ桜部屋に咲き

/惆悵(ちゅうちょう)と季は過ぎにけり山桜

/野遊びや鶯の声上の空

いけませんよ、

そんな幼気(いたいけ)な蕗の薹を採るなんて。

春はそこにゐます。

/菜の花やトリコロールにいまひとつ

/城山に桜吹雪や千曲川

/新樹光野を列車ゆくカメラ屋さん

山菜のち丘に上りて、

万朶の桜の樹の下でああ、やっぱりこんにちはビール。

酔い心地にブルーシートに横になれば、

桜花びらが光の絲を曳く。

蜜吸い鳥は枝枝に喧しく、桜花天蓋に眩しむ。

帽を目深にすればたちまち邯鄲一炊の夢となるのです。

/春耕(たがや)す即ちばばに筆耕す

 

倉石智證