/芍薬の小花咲かせて蟻の径

/紅ハルカ定植を待つバケツかな

/紅ハルカ植ゑて畝間に涅槃風

/春愁や蕪村翁と花茨

/菖蒲咲くバイクに乗った青少年

/山藤や谷峡(たにかい)もろにむらさきに

/蒼き実の落ちて摘果の行き処

/お気張りや石楠花空へ呆けゆき

/コンクラーベ白き烟の吹き流し春の調べを人の心に

Popeは初めて米国人が。

/炒めては花芽付けたる野良坊菜

/さんざめく芍薬の花涅槃西風

/小菊小菊呼べばふりむく噯気(おくび)かな

/蕗っ葉を剥けばばーさん生き生きと幼心の蘇りする

/一村の花の四時とはなりにけり

/花韮を置き忘れたる片陰に

 

倉石智證

 

皐月の草に分け入って。

農事戦々(笑)

花柄摘み。

/ガビチョウのきれいに鳴いて皐月風

/地に落ちて芽が出て双葉こんなとこ

/松が枝の下に武者ぶる菖蒲かな

/花腐ししとけなくゆく躑躅かな

/芍薬の気を持たせける玉つくり

/従はぬものなど無しに春の風

/無残やな花殻摘みと棄てられし

/花殻摘み身をさっぱりと調えて

/用も無き枝を間引いて午後の風

/名を呼ばれ身をはしなくも小菊かな

/浮花や花の台(うてな)とみ仏の

/露草や露の便りを紫に

/粗草(あらくさ)やややたじたじと刈り払い

/溝掃除下々の草容赦なく

/門柱を出ればばばには他所の人

眼眸(めめ)も近頃見えなくなった

/云ひ寄るやヒルザキツキミ昼間から

/畝立てゝけふのビールの糧とせし

 

倉石智證

そろそろに五月の薔薇の初めにけり

/花の四時あと追いかけて蝶の夢

/柿若葉の窗より山のゆるみけり

/柿若葉風待ち顔に日の光

/雨上がり故郷の山 山笑ふ

/赤は薔薇、紅は石楠花 白躑躅、神しろしめす午後の庭前

/矢車艸モネの土手とは云ひにけり

/野に出れば野蒜は妻の手に余る

/藤房の花の後なる後生かな

/聖五月百姓苗を地に下ろす

/薫風やああ腹いっぱい鯉幟

/山の端に飛行機雲や聖五月

/ジャガイモの一番花をほめにけり

/「こんにちは」土産持て来るみどり風

 

倉石智證