盛夏、恙無しや。

盛夏、恙無しや。雲もくもく、相変わらずなスイカな日々、胡瓜な日々、トマトな日々を送っています。とくに胡瓜は朝起きて畑に行くのがコワイほどです。茂った葉の裏などにいつの間にかギョッとするほどの大物が隠れていたりするからです。頼もしや、毎日がお福分けです。ピーマンの翠、茄子の“茄子紺”も忘れ難い。でもこの季節、色で云へばやっぱり赤色が心浮き立つ。トマトには朝、「リコピンさーん」とおはやうの声を掛ける。西瓜はあと10個ほど。まるで気が気じゃないですね。大玉が膨れ上がって来ましたよ~。生まれ出る、まるでト月十日のごとき心持です。胸で分ける空気の中に秋がやって来ました。秋と云へば南瓜くんです。根本近くの葉っぱに少しずつ枯が入って来てゐます。茎がコルク化してゐればOKとか、もう5つほど採ってしまいました。甲府ではホウトウですね。ホウトウと云へば南瓜です。さあ、楽しみに頂きましょうか。

 

倉石智證

夏は漫ろに。

/夏野菜天ぷら尽くしリコピンさん卵と炒めさあ召し上がれ

/芋の露遊び心の誘われて

/芋の露踏みとどまってぽろり哉

/芋の露天気予報と裏腹に

/白粉花なに考えて化粧(けはひ)せし

/湧いて出る庭仕事こそ夏仕事

/脚立上がって吾を見下ろせり帰り花

/とーさんは庭に芝刈りに

どんぶらこっこ空の回転

/欲心の洗われて高く雲の峰

/苗木屋の夾竹桃こそ紅かりき

/アルデンテ薬味は紫蘇の葉を落とし

 

倉石智證

 

/土寄せやおくるみ葱の伸伸と

/虫の尺寸の世界大宇宙

キアゲハの幼虫。パセリを食べつくしてゐる。

/雨や來る遠雷の音風ぬるし

/鳶カイト飛ぶさまを見る孤独だな

/三千世界虫尺寸の大宇宙

/雲もくもく生きとし生けるものありて

/太陽を抱えて西瓜真っ赤だね

/紫陽花の枯れ切ったるも花後生

/おんとして木偶になりたるばーさんを

立たせて足を踏み締めるなり

ば様ベッドからずり落ちたと妻からの声。

ベッドの際におんとしてゐる。

首に掴らせて、抱きかかえてよいしょとなんとか車椅子に。

必死の力でぼくにしがみついて来る。

重力とは不安定で不安なものだ。

/扇風機どこ吹く風を止めてみる

/里芋と茄子(なすび)は水を欲しがりき

/冷やし茄子妻との夕餉待ち易し

/トンカツに救い求めて夏暑し

/鋏研いで摘芯の時待ちにけり

/幾たびも西瓜見に行く畑の径

/用無きに西瓜奉行の畑に出て蝉の声聞く風に流れて

/ジェルソミーナ呼べば悲しい海の音風の音にそ一人サンパノ

夕暮れ時畑にゐれば、ふと『道』を思い浮かぶ。

ジェルソミーナのことを思い浮かぶ。

無垢とはなんだらう。

ば様は“しわくて”無垢である。

※しわい=強情っぱり