/土寄せやおくるみ葱の伸伸と

/虫の尺寸の世界大宇宙

キアゲハの幼虫。パセリを食べつくしてゐる。

/雨や來る遠雷の音風ぬるし

/鳶カイト飛ぶさまを見る孤独だな

/三千世界虫尺寸の大宇宙

/雲もくもく生きとし生けるものありて

/太陽を抱えて西瓜真っ赤だね

/紫陽花の枯れ切ったるも花後生

/おんとして木偶になりたるばーさんを

立たせて足を踏み締めるなり

ば様ベッドからずり落ちたと妻からの声。

ベッドの際におんとしてゐる。

首に掴らせて、抱きかかえてよいしょとなんとか車椅子に。

必死の力でぼくにしがみついて来る。

重力とは不安定で不安なものだ。

/扇風機どこ吹く風を止めてみる

/里芋と茄子(なすび)は水を欲しがりき

/冷やし茄子妻との夕餉待ち易し

/トンカツに救い求めて夏暑し

/鋏研いで摘芯の時待ちにけり

/幾たびも西瓜見に行く畑の径

/用無きに西瓜奉行の畑に出て蝉の声聞く風に流れて

/ジェルソミーナ呼べば悲しい海の音風の音にそ一人サンパノ

夕暮れ時畑にゐれば、ふと『道』を思い浮かぶ。

ジェルソミーナのことを思い浮かぶ。

無垢とはなんだらう。

ば様は“しわくて”無垢である。

※しわい=強情っぱり