どこやらに、重苦しい刈り払い機の声を聞く
夏草の生い茂るよ
畑中から石垣の隙間へと
蔓草の枝垂れ上がり
百の眸ではなく千の眸の
万の眸が地平まで追いすがりゆく
シーシュポスの神話
われわれは罰せられたものとして野末の端に
初めから負け戦だったのだよ
ほらごらん、草の剣
荊棘(けいきょく)はいともたやすくわたしを傷つける
血が新たに滲みゆく
まるで灼け付く戀のやうにひどく
それをもて曇天に差し出す
重苦しい刈り払い機の音ヨ
それにしても少しは捗ったのかね
夏草の忍び笑ひ
/蝉墜ちて雲はそれを見ていたとも
/蝉墜ちていまマツリゴトはじまりぬ
/蝉墜ちて謝りたきこと無きにしも
/朝顔の伸びたきまでに空に伸び
/ぶら下がるゴーヤは素知らぬ顔をして
/蔓仕舞ひ藪に見つけし西瓜の兒
/デイ送る行ってらっしゃいと門に夏の朝
倉石智證




















