西瓜な気持ち。

ゴーヤな気持ち。

モロコシもあって、

枝豆な気持ち。

/冷蔵庫開ければ西瓜転げ出し

/枝豆を採りに畑へ汗の中

/汗だくや枝豆を云ふ亭主かな

/わが物の夏の如しや凌霄花(のうぜんか)

/王様は裸だ夏の亭主殿

/中元のお礼はいつか愚痴になり

/落花生の根張り初めて草引き夫

/青臭くムラサキシキブ実を付けて

/天ぷらやけふからゴーヤ仲間入り

/家路指す百姓の背に夏の雲

 

倉石智證

家族飯。

レビー小体型。

/飯台に握り並べて家族飯もの喰ふ人ら楽しかりけり

/世帯主マイナンバーも仕方なし妻に撮らせるはいパチリかな

/鷺一羽ショーステイの前庭の青田にをりて閑もてあます

/ばーさんの声が漏れくる一晩中「消やしておくれ、火が燃えてゐる」

▲レビー小体型。妻はおちおち眠れない。寝不足の朝。

/百日紅、百日草も咲きにけり

/まず一本地這え胡瓜のおもてなし

/九十(ここのそ)の人を見舞いに練馬まで帰路の地下鉄乗り間違える

/白海老の蒲鉾届く富山から

/初物の枝豆ビール、ビール哉

/メシメシと林檎成り来てつっかえ棒

/手に余る三日見ぬ間のオクラかな

/朝涼は一時、瓦から炎帝

 

倉石智證

みみず

いぢけて

あすこには合理性のやまひが

道の境に

わたくしの足が蹴って

草むらからミミズが這い出でた

轉乎としてのたうつ

ああ、眸が無いんだね

吐淫し虹色に煩悶し

チチチチチ

そっちへは行ってはいけないのに

大きくうねり

渇いた地面に体躯をこすりつける

ほんたうに鳴いてゐるんだ

躰が渇いてゆくと

急に理力も衰えて

道と草叢の境に

熱と湿り気の境に

一匹の蟻んこがたかると

すぐに無数の獰猛が寄り集まって

ああ、云はんこっちゃない

すべてが反対方向に

わたしが蹴り出したわけではないのに

そっちへ行ってはいけないっつうのに

チチチチチ、ナイタンダネ

わたしとおまいのちょっとしたごうりせいのやまひ

すぐに干からびてゆく

 

倉石智證