みみず

いぢけて

あすこには合理性のやまひが

道の境に

わたくしの足が蹴って

草むらからミミズが這い出でた

轉乎としてのたうつ

ああ、眸が無いんだね

吐淫し虹色に煩悶し

チチチチチ

そっちへは行ってはいけないのに

大きくうねり

渇いた地面に体躯をこすりつける

ほんたうに鳴いてゐるんだ

躰が渇いてゆくと

急に理力も衰えて

道と草叢の境に

熱と湿り気の境に

一匹の蟻んこがたかると

すぐに無数の獰猛が寄り集まって

ああ、云はんこっちゃない

すべてが反対方向に

わたしが蹴り出したわけではないのに

そっちへ行ってはいけないっつうのに

チチチチチ、ナイタンダネ

わたしとおまいのちょっとしたごうりせいのやまひ

すぐに干からびてゆく

 

倉石智證