やがて薄暮が訪れ
酷暑はそのままに
空は気が付けば夕焼け色に
夕暮れの時はよいとき
でもこんなお空は真っ赤っか
だから夕焼けの色はさみし色
きっと世界にいろんなことがあり過ぎるから
もう二度ともとの形には戻せないから、
張り裂けさうで
一息に赤く染まって
ふる里の山の空に
どんどんどんとお空を叩く
ちょっと前まではカイトが空を舞って
鴉や災厄が寄って来るなと
お空には多くのことがあって
全部がうまくゆくわけではないから
ブンブンブンと音を立てて
しくじって
凧が果樹園の空を飛ぶ
千個の葡萄が一斉に黒ずんで
凧が空に笑ふ
きっとうまくいかないこともあって
さうだね、悲し色の夕焼け
倉石智證