密教思想に入ります。 『不二』論の『不二』とは何か? | 神聖寺 隆健 090-3085-9732

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神聖寺 隆健 (しんしょうじ りゅうけん)
真言宗、法事と供養、仏教世話ばなし


上の梵字は私、隆健の筆による、サンスクリット語・般若心経からの一文字です。
ブログを途中からお読み頂いた方々の為に、過去のブログを、改めてご案内させて頂いております。なお、私のつぶやきは実生活には何の役にも立ちません。謝謝。
つぶやきを進めましょう。
少し・・・密教思想に入ります。
『地―水―火―風―空』の五大=『色(物質)』は「この世に生み出されたもの」です。
『梵字(あ)字』観は『地―水―火―風―空』の五大=『色(物質)』を『こころ』の一点に集束する観法です。
それだけではありません。
『地―水―火―風―空』の五大=『色(物質)』を否定・否定し一点に集束した結果、さらに「この世を生み出した世界」にまで到達するのが『梵字(あ)字』の観法です。
それが『梵字(あ)字』観でたどる『最終点』です。
空海は『梵字(あ)字』観の後半の『観法(こころ)』を『識』と名づけました。
その『観法(こころ)』=『識』を表すものが『空―風―火―水―地』とも言えます。
『地―水―火―風―空』=五大(物質)
『空―風―火―水―地』=識大(こころ)
空海はこの『五大・識大』のふたつを以って『不二』と言いました。
『不二』とは何か?
これは二つのものの間に対立がない・違いがないことを意味します。
〔例えば、煩悩と涅槃とは異ならないことを表現する言葉です〕
つまり「この世に生み出されたもの」と「この世を生み出した世界」はひとつに融け合っているということです。
否定・否定されるべく「この世に生み出されたもの」は「この世を生み出した世界」と同じものとして肯定されるべきだ!との論になります。
この密教『不二』論は、否定・否定の大乗仏教思想に『生命』を肯定する思想を植えつけるものでした。