王様の耳は驢馬の耳 | 王様の耳はロバの耳

王様の耳はロバの耳

普段口には、しないで
済んでいることを
こっそりと、呟いて…

人は、誰もが
愚かしくも、
あまりにも、簡単に

与えられ具えていた、
徳や尊厳を自ら失くし
迷ってしまうことを
私が忘れぬ為に書く
普段は口にしないこと。


今、自分と席を
同じくしている人を前に
ついウッカリ口走る
残念な人がこの世にいる。

馬鹿にしているのか?
なめているのか?

そんな台詞を
この現実世界で
吐く者を見てしまった者が、
皆等しく

その残念なありようの者を
今、個々が、つられて
見下しそうになることを
自ら戒めるものを

この現実世界で
その台詞をウッカリ
吐いてしまった残念な者が
今、ソコで己が
席を同じにしている者のことを

馬鹿にし嘗め、見下して
競い争い競り合うように
己の情けのなさを
誇示してゆく。

人の親である者は
そんな子の姿を見れば
一刀両断

情けのないことを
口にして、と

聖者の沈黙を貫くだろう。

母親に そのように
諌められるようなことを

他所で行ってしまっても
この世界は
とても優しいから
生かして貰えるけれども

情けのないことを
口にした事実は
自らの繊細なガラス細工の心に
しっかり刻まれてゆく。
 
自らが、そんな意気地のない
己自身と向きあって
己に打ち勝つことが
出来ない者は

この世の誰といても
自らを本当に
救うことなど敵わない。

まして今、己と
席を同じくしている者に

情けのない台詞を聞かせ
なだめすかされ
慰められて
茶番を己が求める度に

相手がどのような心であるか
情けない台詞を吐く己が
気付いていることを

その度に、相手に
情けのない己がために
嘘をつかせて
重荷を背負わせ
言質を約束手形を求めても

そんなモノの意味のなさ
いくら情けがなくても
分かるだろうに

生かされて
生かされて
生かされて

他者の魂擦り減らし
そうして生き長らえて

幸せになれる筈がない。
安寧は何処までも
遠くに遠ざかる。