発酵食品・乾物といわれて思い浮かべるものは?
最も身近にあるものは何だろう?
と考えたとき、あなたは何を思い浮かべますか?
私たちの暮らしを豊かにする保存食・・・ということを考えたとき、
私にとっての答えは昆布や鰹節といった出汁の素材になる乾物、味噌や醤油・味醂・酢・酒などの発酵調味料でした。
煮物、味噌汁、炊き込みご飯、茶碗蒸し、お浸し・・皆出汁と調味料が関わっています。
出汁・調味料がない場合料理はどうなるのか?
生食か炙るか焼くか水を使って煮る・茹でる等の料理です。
そして味付けが塩か塩水だけになります。
現代に生きる私たちには想像すらできませんが、こういった過去があり、そして今があることを理解すると、食事をとても在り難く感じます。
私たちはとても豊かな食生活をしているのです。
保存食が、空腹を満たし生命を守るだけの食をより多彩に、より美味しくしてくれています。
京料理などでは「出会い」という言葉があります。
今の時期だと「まつたけとはもの土瓶蒸し」だとか「茄子とニシンの煮物」
その他わかりやすいところでは「ぶりと大根の煮物」「若竹煮(たけのことわかめの煮物・山椒の木の芽を添える)」などです。
海のものと山のものがその時期に出会い、とても相性が良くお互いを引き立てる料理です。
このとき、例えばまつたけとはもが食材ですが、食材だけでは料理として成り立たない。
何かが足りない。
出汁と調味料が必要になります。
他の料理も食材と食材の仲を取り持つように、出汁と調味料がその役目を果たしていることがわかります。
出会いだけでは料理にならず、私たちは出会いをいただけません。
そこに出汁という場面と調味料という演出があり、素材の多様性と相まって豊かな食文化・食生活・暮らしへとつながっていることがわかります。
「和」にはそんな意味もあるのではないかと思うのです。
豊かな暮らしの一端を担う和食。
土地が生物の多様性を生み、それが食事の多様性になる。
ここに和食の、和の良さを感じずにはいられません。
人を良くすると書いて食と言われます。
ならば和が人を良くするから和食。
和に人の良いところが加わると和食になる。
つまりは自然と人との調和がくらしを豊かにすると言えないでしょうか?
だから、もう一度そこを大事にしたい。
ちゃんと見直したい。
失われつつあるものが、実はたくさんあります。
それらを守るべく、意識し、考えながら、暮らしたり仕事をしたい。
そして後世に残したいのです。
大事なことだと思うこと、思うものを。
それがあじなおの「和食のすすめ」です。
ありがとうございます。