愛染恭介のやぶからぼう日記 -21ページ目

自動車レース・ブルース

そういえば、あの人どうしているんだろうか?
なんて考えていると、何年もご無沙汰だった方が
翌日あたり十中八九お店にひょこっと顔を覗かせてくれる。
もう、あまりにも当たり前の感覚なので不思議に思わないが、
その人の気持ちや身体がこちらに向かっていると、それを事前に察するのか、
それとも自分が呼んでいるのか、もはやどちらでもいい。

そんなこともあって、久しく会っていない友を思う。
高校の頃筆箱に書いた「Fucker」の文字を見つけられ、
イギリス人宣教師の逆鱗に触れさせた、阿呆なやつ。
奴の車好きに付き合って、夜中の通称「04」レースをよく見に行った。
アクセルを一気に踏んで急発進での400メートルタイムを競う自動車レースは、
公道を封鎖しての違法レースで、時には車がスピンしてオーディエンスに突っ込んでくる。
そのさまは、さながら
友部正人のトーキング・自動車レース・ブルース。

もし君が北陸の方へ旅することがあったら
土曜日の夜、ちょっと高岡に寄ってみるといいよ
駅前は朝までレース場
200台もの自動車がブレーキを軋ませながら
ついでに命まで軋ませている
自動車が宙返りするたびに
人生がさかさまに見えるんだ
ホントにステキだよ!

ステキな与太者はとっても悲しすぎるものだから
色めがねかけて言い訳を考える
でもステキな与太者はしゃべることに慣れていないので
「何だこのヤロー、ウルセエナー」って言ってしまう
だから、おまわりは喜んで200人も捕まえてしまう
明日の朝の新聞を読めば、誰もが高岡は
健全なところだと思うに違いないよ

友だちはその後走り屋を気取って~だから奴の車に同乗するのは
気が進まなかったけれど~蛇行した山道を激走して崖から数メートル下の谷底へ
落ちた。
でも悪運強くかすり傷ですんだ。
と言うと、いかにもタフガイのようだけどどちらかと言えばオタク。
会えば3秒で話は済むので、会いたくもあるし会う必要もないような。

なんであの頃はスピードに酔いしれていたのだろう。
車も音楽も。
今はできるだけスピードのないものがいい。
蝶よりもゆっくり歩き、亀の時間に寄りそう。
なんていってもベルクがそれを許してはくれないんだけど!

岩、削ってます!

忘れたころに、母の便りのように、
amazonから、CD在庫補充願いのメールが来る。
CD「岩を削るのは雨」を超スローテンポながら、
未だに買って頂ける方がいらっしゃるので、とても嬉しい。

私のようなものはCDはライブで手売りが基本(顔が見える)なので、
通販でどのような方が買って頂いているのか、出来れば知っておきたい。
あなたは、間違っていない!とも言いたいし、
何を血迷って!とも囁きたい。
なにはともあれ、
CDを購入して頂いたあなたが、たまたまこのブログを覗いてくれたことを
期待して、あなたにこの場を借りて「ありがとう!!」です。

一緒に作ったドラマー大西の、現バンド「ニトロン」もガッツリライブ活動しているし、
ジャケットを撮ってくれた野村恵子も新しい写真集が出たはず。
私は店の仕事にかまけてしばらくお休みしておりますが、
秋にまたライブを、やります。
CDからは既にやらなくなった曲も多いし、時間も経ってはいるのですが、
嘘もなく心血を注いだ曲ばかりです。
人間は惰性で生きてますが、音楽は惰性で転がりたくないし、
ならないように包丁を研いでおります。
あれ?違った、包丁で手を切らないように、次のライブまで、怪我しないように
勤めます。
あれれ。えっと、いつまでもダウンストロークで前のめりで駆け抜けたジョー・ストラマー
のように、年老いても暗闇と格闘している色男レナード・コーエンのように、
精進してまいります。
どこかで、お会いしましょう。


怠慢仕込み

愛染恭介のやぶからぼう日記
ピクルス大好きなんですね、なんて言われるんですけど、
好きなんじゃなくて(いや好きなんだけど)私の持ち場なんです!
主役ではない脇役に精を出す、というのはときに虚しさを感じたりするときも
あるんですが誰かの引立て役っていうのが性に合ってるんですたい。
日本の充実した家庭では、味噌やぬか漬け麹漬け、酢漬けが常備されているように、
アメリカの充実した冷蔵庫には、ジャム、ジェリー、ピクルス、レリッシュ、チャツネ、
ケチャップ、ペーストなどが貯蔵されているようで。
本当のホットドックやサンドイッチ好きなら、美味しいソーセージやハム、ベーコンの
傍らに、ザワークラウトやあらゆるピックルズを挟んでその相性を楽しみ、
ベルクでも色々トッピングするお客さんの増えたこと!

最近は店で常備するピクルスの仕込みの合間に週代わりで季節のピクルスを仕込んで
お出ししております。今回はゴーヤとかぶ、プチトマトと胡瓜のMIX。
仕事と音楽以外ほとんど放蕩している私には、野菜の持ち味・固さだけに注意していれば
あとはピクルス液に眠らさせ、ほったらかしているうちに美味しくなっている、
実にこれまた私の性分に合っている仕込みなのです。
ギター弾きには怒られそうだけど、
ギターも用がないときはほったらかし。
たまたまひらめきが降りてきたときには、すかさずギターを持って仕込みに入るのだけど、
大概は腐らせて腐敗物が頭の中に詰まり、
それを捨てに、と言い訳のように放蕩が始まり・・・

久々に人前で演奏するからギターを抱き寄せなければ!