弟子の成就者たちからシャクティーパットを受けたのは、野田正悟師、スバーフ、アシバンダカプッタ、といった面々であった。
皆さんご存知の名前ばかりだと思う。
もちろん、この面々は麻原の弟子ではなくなる。
当然の事である。
従って、この後は弟子の成就者たちが、全面的にこの面々の面倒を見なければならなくなる。(笑)
麻原の弟子ではないのだから、麻原からのイニシエーションは受けられない。
麻原に布施をすることも出来ない。
グルと弟子との関係とはそういうものである。
なのだが、
そんな事を厳密にやってしまうと、オウム真理教の経営上、組織の運営上、大変な問題が生じることになる。(笑)
なので、そこで麻原は、弟子の成就者からシャクティーパットを受けたとしても、一応麻原の弟子であるという方便を使ったのだ。
何と言っても、この後に、ケイマ、ヤソーダラー、マイトレーヤと、何百人ものシャクティーパットが控えていたのだから。
その売り上げは数千万円にもなる。
グルと弟子との関係を厳密にするのであれば、その売り上げと数百人もの信徒は、オウム真理教から離れていくことになってしまう。
そう言えば、直弟子の話が出たときに、アヌーパマが自分はケイマのシャクティーパットしか受けていないので直弟子ではないのでしょうかと、麻原に質問した事があった。
もちろん、直弟子ではない。
そんな事は当たり前なのだが、その時、麻原はこう答えた。
「アヌーパマは、マハーケイマと縁が深いんだよ。」
麻原がよく使う手だ。
質問には答えずに、するりとかわす。
直弟子ではないとは言っていないために、弟子たちは自分勝手な解釈を加えて納得するのだ。
オウム事件の複雑さの要因のひとつがここにある。
弟子たちは、麻原が言った事を記憶するのではなく、自分たちが解釈したことを記憶しているのだ。
そのため、当然に人それぞれ証言が違ってくることになる。