圧倒的な強さを持ち、傍若無人な振る舞いをするスズメバチだが、思ったほどにその数が増えてはいない。
毎年、ひとつの巣から20匹もの新たな女王蜂が誕生しているにも関わらずである。
その理由は、スズメバチにも様々な天敵が存在しているからである。
天敵とは言っても、働き蜂に対する攻撃は、それほどダメージにはならない。
大きなダメージとなるのは、女王蜂への攻撃と、巣そのものを破壊することである。
で、面白いことにと言うべきか、自然は実によく出来ていると言うべきか、女王蜂だけを狙った寄生虫というものが存在しているのだ。
スズメバチは寒さに弱い。
寒くなるとすぐに動きが止まってしまう。
そして逆に寄生虫はスズメバチよりは寒さに強い。
完全に動きが止まった女王蜂に卵を産みつけ、卵から孵った幼虫はスズメバチを食ってしまうのだ。
さらにスズメバチに感染する寒さに強い細菌もおり、ほとんどの女王蜂は冬を越すことが出来ないのである。
さらにもうひとつ。
人間と言う恐ろしい怪物もいる。(笑)
やつらは巣を完全に破壊し、大量のスズメバチを食うのである。
成虫はから揚げにしたり、焼酎に漬け込んだりする。
蛹は佃煮に、幼虫はそのまま生で踊り食いだ。
驚くべきことに、奴らは幼虫から成虫まで全部食ってしまう。
最近では殺虫剤を使えば簡単に駆除出来るのに、わざわざ生け捕りにしているのである。
さらにさらに、スズメバチがビジネスにもなり始めている。
スズメバチは売れるのだ。(笑)
何でかと言いますと、成虫は殺虫剤の研究開発のため、製薬会社が欲しがっている。
幼虫や蛹からは様々な成分が抽出できるため、薬品やサプリメントが作れるのだ。
なんて素晴らしいんだ!