スズメバチに限らず虫はあまり器用に足を使えない。
6本あっても人間の様に器用に動くわけではなく、全部同じようにしか動かない。
が、しかし、虫でありながら前足を器用に使える虫がいる。
それがカマキリである。
カマキリは前足を伸縮自在のマジックハンドのように使えるのだが、その分だけ足の数が減り移動は苦手である。
しかも身体の大きさはかなりのものになるので、ゆらゆら揺れながら歩いている。
ある時トマトの枝にカメムシがとまっていた。
針のような口を突き刺してトマトの汁を吸っていたのだが、その時枝の下の方で何かがゆらっと動いた。
それがカマキリだった。
カマキリは枝の反対側から、カメムシに見つからないようにゆっくりと近づいていく。
反対側からどうやってカメムシを捕まえるのだろうと思ってみているのだが、前足を伸ばせば届きそうなところまで来てもカマキリは反対側に隠れたままだった。
どのタイミングで身体の向きを変えるのだろうと思っていた次の瞬間、カマキリは意表をつく行動に出た。
なんと、カマキリはカメムシの反対側にいたまま、右のカマを延ばし、トマトの枝ごとカメムシを挟んだのだ。
見事な戦略だ。
これならカメムシに気付かれることはあるまい。
カメムシは全く動くことが出来ずにいる。
カマキリは今度は左のカマでカメムシの下あたりのトマトの枝をつかみ、左側から顔を伸ばしてカメムシを食べ始めた。
見る見るうちに食べられていくカメムシ。
素早い仕事だねえ。
何故だかカメムシは臭い匂いを出すことも出来ずにいた。
やっぱりカマキリは狩りの達人ってことなのかねえ。