スズメバチ⑱ | 法友(とも)へ

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働き蜂の数も増え、アシナガバチの巣も随分大きくなってきたなあ、とそんな事を思っていたある日の事。


軒下でダンボールを引き裂くような、バリバリッ!という音がした。


バリバリバリ!、ガサガサ、バリバリッ!とその音は続いている。



一体何の音だろうなあ?


ネコがダンボールでも引っかいているのか?


軒下には何もなかったはずなんだけどなあ。


と考えてみても皆目検討がつかない。



というわけで、外に出て見に行ってみると、そこには今までに見た事がない、想像したこともない光景が広がっていた。


普段は巣の上に乗っかって、忙しそうに動き回っているアシナガバチたちが、巣から離れたところにとまって動かない。


そのうちの1、2匹は巣の周りをゆっくり飛び回って、巣に近づこうとはしていなかった。



そして、巣の上には一匹だけがいた。


最初はやけにでかいアシナガバチがいるなと思った。


ところがそれはスズメバチだったのである。



バリバリバリッ!という音は、スズメバチがアシナガバチの巣を破壊する音だったのだ。


スズメバチはわがもの顔で巣を破壊して、アシナガバチの幼虫を引きずり出していた。


巣をよく見ると、あちこちに破壊された痕がある。


巣の下の地面には、細かな巣の残骸と、かつてはアシナガバチの幼虫や蛹だった者たちの体の一部らしきものが落ちていた。


もう何日もこんなことが続いているのだろうか。



蛾の幼虫に対しては圧倒的な強さを持つアシナガバチも、スズメバチ相手には全く歯が立たないようだった。


このアシナガバチを餌にするスズメバチの名が、ヒメスズメバチである。


これが自然界というものなのだが、アシナガバチにとって、どうにもならない時間が過ぎていった。