アシナガバチはヨトウムシを餌にする。
だからといって、ヨトウムシなら何でもいいのかというとそうでもない。
そこには自然界の不思議なルールが存在するのだ。
アシナガバチの巣は、大抵は人間の身長よりも高い位置にある。
が、ごくたまに意外な場所に巣を作ることがある。
古い瓦や板が積み上げてある場所に盛んにアシナガバチが出入りしているので、どういうことなのかと思ってそ~っとひっくり返してみた。
すると、そこにはでっかい巣が有り、10匹ほどのアシナガバチがいた。
そこでまたヨトウムシのプレゼントをと思って割り箸でつまんで巣に近づけたのだが、アシナガバチ達は何の反応もしない。
ヨトウムシも動かないが、アシナガバチもまた動かない。
そこで仕方なく、ヨトウムシをアシナガバチの巣の上に乗っけることにした。
アシナガバチが巣につかまっているすぐ隣に置いたのだが、どのアシナガバチも迷惑そうな顔をするばかりである。
全く不思議なことに、ヨトウムシを餌とも思わないし、かといって敵に巣を攻撃されたとも思っていないようだ。
逃げるでもなく、攻撃するでもない。
前回はアシナガバチは大喜びでヨトウムシの供養を受けたのだが、今回は全く興味を示さない。
その違いはと言うと、ヨトウムシの大きさにある。
今回は終齢幼虫であり、アシナガバチよりも遥かに大きくなってしまっているのだ。
面白いことに、ヨトウムシは大きくなるとアシナガバチに襲われることがなくなるのである。
これなら安心して蛹になることが出来る。
なんて素晴らしいんだ!
大自然の仕組みって、上手いこと出来てるもんだなあ。
ヨトウムシはアシナガバチに全滅させられる事なく成虫になり。
成虫になったヨトウムシはまた卵を産み、アシナガバチに餌を提供する。
因果は巡る糸車!