まあ、虫の声が聞こえる、とは言っても鳴き声が聞こえるという話ではなくて、言葉が聞こえるということなのだが。
確かに虫に限らず、生き物は基本的に声を発している。
それは気付くか気付かないかだけなのだが、人間同士のコミュニケーションが言語中心になっているために、一般の人は言語以外の声を聞き取ろうとしなくなっているのだろうと思う。
僕の場合は色んなものの声が聞こえるのだが、それは別に修行するとかしないとかは関係ない。
虫だけでなく、中学校の時の修学旅行で鎌倉の大仏を見に行ったら、最初に目があった時に大仏が「よく来たね。」と言っていた。(笑)
また、仕事上の知り合いが亡くなった時に、仕事を引き継いでもらいたいという話をしに霊がやって来たのもオウムに入る前である。
元サマナがアンチになって、エネルギーとかバイブレーションの話をすると目くじらを立てて否定しようとするが、そんなものはオウムとは関係なく始めから存在している。
それを知覚出来るか出来ないかは、単に能力の問題に過ぎない。
で、虫の話に戻すと、ゴキブリが走って逃げる時は、どう見ても「ひえ~!」と言っている。(笑)
そりゃあ、そうだろうなと思う。
ゴキブリから見れば、人間ほど恐ろしい生き物はいないだろうから。
人間はゴキブリを見ると、すぐさま殺そうとする。
問答無用で、ゴキブリが人間に全く危害を加える気が無いにも関わらずである。
支部活動をやっていた時にゴキブリ捕獲器を作ったのだが、プラコップで捕まえても足をぶつけたりしてひっくり返して、数十匹のゴキブリが一斉に逃げ出して大変な事になったりしていた。
そこでサマナがバケツにマーガリンを塗って、巨大なゴキブリ捕獲器を作る事にした。
これなら毎日ゴキブリを逃がしてやる手間も要らず、数日に一回という便利なものだった。
万事上手く収まったと思われたある日の事、事件は起きた。
サマナが大変ですと言うので、見に行ってみると。
バケツの底に、でっかいタランチュラがいた。(笑)
え~と、これは一体どういう事なんだろうか?
すぐには答えが出なかったのだが、その時僕はゴキブリたちの叫びを聞いたのである。
普通、ゴキブリたちは捕獲器の底でまとまって、それぞれがおのおのうろうろしている。
まあ、平和な日常である。
ところが、この時はそうはいかなかった。
いつもならゴキブリたちが平和な時間を過ごすバケツの底には、馬鹿でかいタランチュラがいるのだ。
ゴキブリたちは困っただろうと思う。
タランチュラがいるので底に降りることは出来ない。
だからといって、上に登ろうにもマーガリンで滑って落ちてしまう。
かくして、行き場を失った数十匹のゴキブリたちは、バケツの真ん中あたりをものすごい勢いで一斉に同じ方向に回っていた。
この時、数十匹のゴキブリたちが同じように「ひえ~!」という叫び声をあげながら、何とかして逃げようと走り回っていたのである。
頭の中に声がこだまするものだから、手に持ったバケツをあやうく落としそうになってしまった。(笑)