富士山総本部道場のトイレは汲み取り式である。
トイレは1階だけでなく2階にもあり、配管を通して1階の便槽に落ちるようになっていた。
これに対してサティアンは水洗トイレである。
その理由は、サティアンが麻原の居住スペースであるからである。
同じ理由で第二サティアン、第六サティアンにも水洗トイレがある。
もちろん、その周りの建物は全て汲み取り式になっている。
そんな富士山総本部道場のとある日に、V師から内線電話がかかってきた。
V師と言えば、麻原から「エネルギーのことは私じゃなくVに聞け。」と言われるほどのエネルギーに敏感なお方である。
当時V師は事務で金庫番をやりつつ、生活班の面倒も見ていた。
で、電話の内容はと言うと、経理と生活班の両方に関わりがある事だった。
V師が僕に「汲み取り担当ですよね?」
と聞いてきたので、
はっきりと「違います。」
と答える。(笑)
勘違いされている方も多いようなのだが、私はオウムの便利屋さんではないのだよ。
まあ、とりあえず話を聞くだけ聞いてみると、今日これから汲み取り業者がやって来るので、一緒に立ち会ってもらいたいとのことだった。
なんでやねん!
なんで生活班じゃなくて、ワシが立ち会わなければならんのだ?
どう考えても断るしかない申し出に思えたのだが、その後のV師の話に少し興味を引かれた。
汲み取り料金がいつも同じなのだという。
先月も、先々月も、その前も、いつも同じ汲み取り量、いつも同じ金額ということだった。
常識的に考えて有り得ない事だ。
何か裏がある。
まあ、しょうがない。
付き合ってみるか、という気になった。