電王戦FINALを振り返って② | 法友(とも)へ

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後手に2八角と打たれるパターンは、古くは升田式石田流の変化で現れる事があった。


この場合は後手が船囲いであるために、1四の端歩を突いており全く違う変化となる。


升田式の場合は金で馬を取りに行くために、馬と金の交換となる。



これならコンピュータは喜んで交換してくるだろう。


何せコンピュータにとっては、角よりも金のほうが価値が高いのだから。


そうなってしまったら、もちろん人間にはもはや勝ち目はない。


コンピュータの圧勝となる。



ついでに書いておくと、桂馬の価値は低い。


持ち駒に桂馬の枚数が増えれば増えるほど、評価値は下がっていく。


面白いことにコンピュータは、持ち駒に桂馬が増えれば増えるほど不利であると判断するのだ。


今回の電王戦で使われた作戦は、この評価値の低い桂馬と馬を交換するというものである。



この罠が完成すると、馬はどこにも逃げられず歩と交換することしか出来ない。


他に取れる駒がないのだ。


そのため、コンピュータは罠が完成する前に、馬で桂馬を取ってしまうのである。



手順としては、飛車を一番下まで引いてから、その後で桂馬を跳ねる。


一見、桂馬を跳ねてから飛車を引けばいいように見えるのだが、実際には手順前後すると失敗してしまう。

この罠は、藤井システムの対穴熊戦のように、一手違っただけで全く別の結果となる。


逆に言えば、一手も間違えなければ、序盤で既に大差がつき、将棋は終わっているのだ。


そして、プロ棋士ならば、間違えることはない。



コンピュータが馬を逃がすためには、3五歩、36歩とのばしてくるしか方法がない。


そこへ4四銀から4五銀と戦力を追加出来れば理想的であるし、場合によっては3二飛と回る手もある。


そうなると今度は、先手が罠を仕掛けるために他のすべてを犠牲にしているので、ちょっと攻め込まれただけでガタガタになってしまう。


そうならないように、コンピュータに気付かれないように駒組みを進めて、馬を桂馬と交換させることが出来るかどうかが勝敗の分かれ目となる。