もしかしたら最後となるかもしれない、プロ棋士とコンピュータの戦いが迫ってきた。
どんなに不利な条件の下でも、何の不平不満も言わずに常に全力を尽くす、まるで修行者の鑑のようなコンピュータの戦いぶりを見届けたいと思う。
この最終局、今回は今までとは違ったいい感じのPVになっている。
プロ棋士を目指すものは、3歳か4歳で将棋を覚える。
小学生では周りの大人たちは誰も歯が立たない。
まさに天才である。
そしてその天才たちは、10歳やそこらで自分が進むべき将来の道を決めてしまう。
奨励会には、そんな天才達が日本全国から集まってくる。
が、しかし、そこは凡人には信じられないほどの厳しい競争社会。
天才達の8割は落伍していくのだ。
1年間でプロになれるのはわずかに4名のみ。
こんな厳しい世界が、世の中に一体どれだけあるというのだろうか。
8年前、その男は奨励会を去った。
どんなに努力しても、自分は強くはなれないのだと思い知らされて。
もう二度と、この場所には戻ってくることはないと思っていた。
しかし、その男は戻って来る。
その場所、将棋会館へ。
自分は強くなれなかった。
だから、その分だけ、強くした。
あのponanzaをも倒した、最強のコンピュータを引っさげて。
実に、楽しみだ。