高橋 克也の他にも腕自慢は集まってきた。
まあ、男なら誰しも格闘技には興味があるだろう。
見学者達の中に、なんだか偉そうな事を言っているCBIの若いサマナがいた。
話を聞いてみると、インターハイに出場経験があるという。
能力を持つものが、その能力ゆえに見せる傲慢さを、麻原は嫌いではない。
初段ながらインターハイ出場ということで、みんなで「おおっ。」と盛り上がったところで、じゃあ、高橋 克也とどうぞっていう話になった。
かくして、スマンガラ二段対インターハイ初段の対決が実現する。
いや、インターハイはホーリーネームじゃないんだけどね。(笑)
ここで実に面白いものを見せてもらうことが出来た。
それは軽量級の柔道がどういうものかということだった。
インターハイの見た目は、身長165cm体重55kgといったところだろうか。
ゆっくりと間合いを詰めるスマンガラに対し、インターハイはまるでボクサーのような華麗なフットワークを見せる。
なかなか掴ませてはくれない。
その素早い動きに、「おおっ、」と会場がどよめく。
スマンガラが一旦道着を掴んだと思ったら、直ぐに身体をひねって腕を払われてしまった。
再びゆっくりと間合いを詰めるスマンガラに対し、インターハイは右手前、左手前と左右に体を入れ替えながら、フットワークを使ってスマンガラの周りを回っている。
自分が不利になるような体勢では、組み合うつもりがないということなのだろう。
この勝負、面白い!
さあ、ここからどうなるんだろうと思って、わくわくしながら見ていると、スマンガラが一気に飛び込んでインターハイの道着を掴んでそのまま倒した。
プンナじゃなくて、大内刈りだったように思う。
「おおーーー!。」
という歓声があがる。
スマンガラがインターハイの腕を掴んで腕ひしぎ逆十字の体勢に入る。
腕を伸ばし切って技が決まったと思った瞬間、タップしたのはスマンガラだった。
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ん?
何が起こったんだ?
と意味が分からない素人集団にスマンガラが説明したところによると、インターハイは腕ひしぎ逆十字をかけられながら、その腕でスマンガラの道着の襟を掴んで頚動脈を締め上げたらしい。
う~む、なんてハイレベルの戦いなんだ。