成田空港到着。
ここでも、もはや当たり前の様に止められてしまう。
行きはよいよい、帰りは怖いとはよく言ったものだ。
それぞれ数人ずつ分かれているにも関わらず、そのグループごとに一塊になってゲートの前で待たされている。
まあ、しょうがないかもしれない。
明らかに怪しい連中だから。
例の怪しい機械も分解されてただの部品になってしまっているのだが、ボディーチェックをされるというようなことはない。
インドツアーのときは、搭乗前にボディーチェックがあり直接触られたが、入国の場合はそこまでする根拠がないのだろう。
ボディーチェックされたら、スーツのポケットに入っているアンプルは簡単に見つかるのではないかと思ったが、全員スルー。
しばらく待たされた後、責任者なのかどうかは分からないが、それらしき男性職員がやって来た。
で、その時に、こんな事を言った。
「皆さんが同じ団体の方たちであることは分かっています。」
「だからといって、あなた方をここに留めておく権限は、我々にはない。」
そんな内容だったと思う。
この時、ロシアツアー参加者の全員が、ほっと胸をなでおろしたのだろうと思う。
一礼してゲートへと向かう。
他の連中もそれぞれゲートへと向かっていた。
歩いたのは20メートルぐらいの距離だったと思う。
しばらく待たされたものだから、オウム以外は誰も歩いていない。
ああ、これで終わったんだなと思いながら、横を見ると5メートルぐらい離れたところを端本が歩いていた。
最初はやや緊張したような面持ちだったのが、ゲートが近づくにつれてなんだかうるうるしてきていた。(笑)
ゲートの手前で、小さく「やった。やった」と呟いている。
そしてそれが、外へ出た途端、はっきりとした「やった。やったあ。」という声に変わる。
もう涙ぐんでしまっている端本に向かって歩きながら「やったなあ、おい。」
と声をかける。
「やった、やった。」といいながら駆け寄ってくる端本をがっちり受け止めて、男ふたりで熱き抱擁。(笑)
もはやスポコンドラマのようになってしまっていた。