世界初の窒化ガリウムの膜の製造に成功はしたものの、これだけではまだダイオードにはならない。
シリコンを混ぜてマイナスの電荷を持たせることでn型の素子を作り、マグネシウムを混ぜてプラスの電荷を持たせることでp型の素子を作る。
このふたつを接合し、電圧をかけることで電子が連続して移動し、青く光り続ける。
こうやって天野教授は青色発光ダイオードの開発に成功する。
世界初の快挙だった。
日本人って、本当に凄いなと思う。
世界中の科学者が不可能といい続けたことを、たったひとりでやり遂げてしまったのだから。
自分が開発したわけでもないのに、自分が日本人であることがなんだか誇らしい。(笑)
で、不思議なのは天野教授と同時にノーベル賞を受賞した、赤碕教授と中村教授の二人についてである。
天野教授は他の二人は受賞して当然だと思っていたがまさか自分が受賞できるとは思っていなかったと言っていた。
しかしだよ。
素人目にはまったく逆に見えてしまう。
ほんとこの辺のところは広瀬にでも説明してもらわないとよう分からん。
まあ、専門家からみればちゃんとした理由があるんだろうな。
で、話はこれでは終わらない。
実は次なる展開が待ち受けているのだ。
これはまさに革命である。
青色発光ダイオードの登場のおかげで、照明用の電力が節電できるようになった。
現在、電車やエアコンのモーターをコントロールするインバーターには、シリコンが使われている。
このシリコンの代わりに窒化ガリウムを使うことで、照明のときと同じように節電が出来るのである。
しかも、全電力のうちの照明の割合はせいぜいが20%程度なのに対して、モーターの電力は全体の60%もある。
照明のときよりもはるかに大きい節電効果が期待出来るのである。
もしかしたら、そう遠くない未来に、日本から原発が必要なくなるのかもしれない。