村井が出て行ったところで、麻原に色々と報告をする。
次の指示を受けたり、あれこれと話をしたり。
意外に思われるかもしれないが、麻原はいつも難しい話ばかりしているわけではない。
普通に話もするし、結構笑いが溢れている感じである。
一通り話が終わった後で、麻原が「よし、イニシエーションだ。」
と言い出した。
大声でドゥルガーを呼ぶと、たしかチャンだったかと思うが、を持ってくるように言った。
麻原は、すし屋で見るような大きな湯飲みを受け取り、しばし瞑目して修法すると、
「チベット密教において、偉大な修行者たちはこれを飲んで瞑想した。」
と言って、その湯飲みを僕に差し出した。
僕がその湯飲みを受け取ると、
「一気に飲み干せ。」と言った。
言われたことを言われたままに実行するのが、ヴァジラヤーナの弟子の務め。
言われた通りに、一気に飲み干すと、麻原は「強いなあ。」
と一言。
こういう時、麻原はいつもご機嫌である。(笑)
味はというと、すっきりとした癖のないやや辛口。
見た目は、どぶろくよりは米粒が大きめに残っている感じ。
酵母による発酵が少し足りなかったのかもしれない。
で、飲み終えたところで、麻原が「下で修行班が修行しているから、1時間回しておけ。」
と言うので、場所を借りに下へと降りていった。