軍手(終わり) | 法友(とも)へ

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1日のスケジュールは5時間の立位礼拝と1時間のビデオ説法。


これを3回繰り返して、最後は3時間の立位礼拝。


1日に18時間の立位礼拝で、午前2時から5時までが食事と睡眠であったと思う。



ところがこれがない。


サマナは食事を取って、睡眠も取っているのに信徒にはそれがない。


まったく、何てことだ。


夜中の2時過ぎ、立位礼拝を開始してから15時間ほどたった頃。


すでに体力的にきつく声も枯れ、眠いわ腹が減ったわでみんなヘロヘロになっていた。


サマナが眠りについた後でも岐部はずっと立位礼拝を続けているんだなあ、とぼんやり見ていると、その反対側でもの凄いスピードで身体を投げ出しては引き戻している上半身裸の男がいた。



それが村井だったのだが、あんなスピードでやっていたら軍手が畳と擦れて熱いんじゃないのかなあ?


と思ってよく見ると、村井は軍手をしていない。


え、どういうこと?



しかも、それだけではない。


楽しそうなのだ。


村井はまるで立位礼拝が楽しくて楽しくて仕方がないかのように、朗らかに高らかに詞章を唱えていた。


「オウム グルとシヴァ大神とすべての真理勝者がたに帰依したてまつります。」


「わたくし村井 秀夫をすみやかに クンダリニーヨーガの成就へとお導きください。」



自分達にとっては苦しい修行が、村井にとっては楽しい幸せなことだというのか。


同じ修行者として、尊敬せざるを得ない。


いい声だ。そう思った。


10人ほどいた信徒全員の声を合わせたよりも大きい村井の声が道場に響き渡っていた。


その声は天にまで届き、神々はその願いを聞き届けるのだろう。


そんな風にさえ思えた。



この後しばらく経った頃、この極限修行における最初の成就者の発表があった。


それが村井と岐部だったのである。