面接で中川は不思議な質問をしてきた。
最初は「何か他のワークをしたいと思っていますか?」
続いて、「動物は好きですか?」
そして、「動物の世話をするのは好きですか?」
僕はいったいどういうことなんだと思いながら乗り気のしない返事を繰り返していた。
遠藤は少しは離れたところで、黙ってこのやりとりを聞いていた。
質問は続く、「馬は好きですか?」
「競馬はやったことはありますけどね。」
「馬を飼うのは好きですか?」
「はい~?」
馬券を買うんじゃなくて、馬を飼うってどういう意味だ?
知っている人は知っていると思うが、オウムには厳しい戒律があり動物と触れ合うことは禁止されている。
さらに「馬の世話をしてみる気はありませんか?」と聞いてくるので、「いったいどういうことですか?」とこちらが逆に質問をすると、「馬を布施される方がいまして。」という返事。
なんだそれは、馬って布施するもんじゃないだろう。
そう思いながら面接は終了したが、この後直ぐに僕の代わりに馬の世話を押し付けられる哀れな犠牲者が決定する。