時間をはずした日
昨年から携わっていた仕事のひと段落を祝して、
チームの皆さんと、大人の時間に憩う夜。
それぞれが自分のペースで好みの飲み物と、
愉しい話に花を咲かせ、心に栄養をいただきました。
その席で、私の手元にやってきた一冊のダイアリー。
「コズミック・ダイアリー」という日記帳は
ぱらぱらとめくると、書かれていることは神秘的・・・
宇宙レベルの訓示もあったりで、
現実主義の人には、理解されない世界かもしれないけど
私は何にでも好奇心。ワクワクしておもしろい。
その日ごとの余白に、たった一言でも感じたことを綴っておくと
後で読み返したときに、過去や未来の出来事とリンクしていたり
予言みたいに当たっていたり、するらしく。
これぞまさしく、スピリチュアルな世界!
このダイアリーでは
1年は月の満ち欠けの周期で13ヶ月に分けられていて
普通のカレンダーと異なります。
古代の人が、月の満ち欠けや
波の満ち干で時の移り変わりを感じていたように
より自然に近い、日時の概念ようです。
ちなみに本日は7月25日。
コズミック・ダイアリーによれば、「時間をはずした日」。
この日はどの月にも属さない特別な祭日で
それが終わると、7月26日から、また新しい1年が始まるのだとか。
ということは、
もうすぐ、あけましておめでとう・・・?
この本を私によこした人は、
近頃とても女性的なオーラにつつまれている。
恋愛をするときれいになるとか、そんな次元を超えて
エネルギーがほとばしり、頭も冴え、
ますます敏腕かつ魅力的になったみたい。
仕事への情熱だったり、パートナーや家族への愛情だったり、
友情だったり、自分自身を大切に思うことだったり、
未来へつなげていきたい目標や夢だったりと
授かり、注ぎ込めるものは無限大に、一人ひとり違っている。
コズミック・ダイアリーの効果なら、あやかってみるかな(笑)
誰にでも、波に乗る時期はやってくるはず。
厄年が来ようが、厄払いもしないままスルーしている私ですが
これから続く人生の凹凸も、限りなく楽観的に、
陽気に歩んでいきたいものです。
良い夜でした。
次の仕事も、みんなでいいもの創りましょう!
2.セイコトマサキリコン
<バックナンバー>
★
あのころ、校内でクミコさんはちょっとした有名人だった。彼女の、どんな人に対しても垣根を作らないところや、相手の警戒心まで飛び越えて切り込んでいけるセンスは天才的だった。相手が教務課にいる話の通じないおじさんでも、定年間際のオールドミス教授でも、無口なクラスメイトでも、実習先にいる小学生の群れでも、たちどころに懐柔していく。それだけでなく、「クミコ」という名前を、誰もが忘れないのだ。
私たちはよく授業をサボり、真面目な友人に代返ばかり頼んで顰蹙をかう遅刻常習犯だった。通学には電車を3本乗り継いで、次はバスに乗る。ところがこのバスが、丘へと登る唯一の手段でありながら1時間に数本しかなく、一つ逃せば遅刻は確定・・・。徒歩で行こうにも30分ほどかかる。
さすがにそれでは進級も危ぶまれる。利害関係が一致したクミコさんと私は、毎朝待ち合わせて学校へ行く約束をした。それでも待ち合わせの駅には、いつもどちらかがギリギリにやってくる。私たちは「優等生」ではなかったけれど、自堕落なりに学生生活を助け合いながら楽しんでいた。単位を落とさないことに真剣になっていることに、(別のことで同じだけ真剣になればいいのに)と思うのは、大人の考え方だと笑いながら。
★
ポケベルの時代、私たちは授業を抜け、ゼミ室でレポートを書いていた。すると、付けっぱなしのテレビから流れてきたワイドショーが、世紀のビッグニュースを報じはじめた。画面には、でかでかと「聖子と正輝離婚!」の文字が。クミコさんは大急ぎで、ゼミ室の電話に駆け寄り、講堂にいるクラスメイトにメールを打った。
「セイコトマサキリコン」
<ブッ・・・!>
静かなスタバで、二人して噴出して大笑いした。
「思えば、毎日まいにち、ホントにくだらないことしていたねぇ」
「一緒にアホをやる仲間がいてよかったよ」
★
いつも自分に自信がなく、将来の夢さえ不確かな私には、クミコさんの存在はまぶしかった。周囲から見れば、私の存在はただの取り巻きのようなものだったろうし、べったりくっついて、変な関係と勘ぐられることもあったっけ。
クミコさんの持っているエネルギーは、耀きながら自身を疲弊させるほど強力で、恒星の光と似ている。時に突っ走りすぎる彼女にとって、私の存在は程よく社会と繋がるためのバッファーになっていたらしい。あらゆる物事を茶化して、愉快で前向きに光の世界を生きているようで、屈託のなさは寂しい顔を隠すための仮面にすぎなかったのだ。
1.皆既日食の日にやってきたミラクル
~親愛なるクミコさんへ~
曇天の横浜、デスク横の窓から、欠けた太陽は見えずじまいだった。夕方になって外出すると携帯が鳴った。誰かと思ったらクミコさんじゃないか、めずらしい。メールではなく電話してくるという率直さに、いささか驚いた。このところ、ずいぶん疎遠になっており、どうしているかなと気になっていたのだ。
「今、みやちゃんの家の前。」といわれて、もっと驚いた。
「近くのモールをフラフラしていたところ」と答えると、「じゃ、今から行く。着いたら電話するね」と、トントン拍子で合流することになった。
★
あのころ、私たちは小さな丘の上にある学校に通っていた。新入生気分もそろそろ抜ける4月の終わりに、横浜駅の横須賀線のホームに立っていたクミコさんの姿を今も憶えている。ギャルソンの玉虫色したワイドパンツをはきこなし、学生にしちゃ高級で、個性的なファッションをしていた。おまけに丸っこい顔の上に乗ったベリーショートの髪型は、小猿みたいにキュートで、(そういえば同じクラスにいる人よね・・・)と思い出すのは簡単だった。
当時、私たちが所属していたBクラスは、学籍番号が近い人たちが自然とグループになり、40数名が、すでにいくつかの集団に分類されつつあった。周囲の女子大生たちがどこのサークルがいいだとか騒いでいるのを、心底つまらなく聞いていた私に、「一緒に行こうよ」と、声をかけてくれたのがクミコさんだった。
そう考えると、彼女は右も左も見知らぬ学校で初めて出来た友達ということになる。(私は推薦入学で、入学式まで現地を見学すらしていなかった。信じられない馬鹿ものである。)
今思えば、それも何かの引き合わせだったのかもしれない。後から知ったことだが、クミコさんと私の実家は同じ駅にあり、それまでお互いを知らずにいたことが嘘みたいに、共通の友人もいるほどのご近所さんだったのだから。
★
3度目の驚きは、その姿を見た瞬間だった。モールの駐車場に続くエスカレーターを下って、ふらりと登場したクミコさんは、目を疑うほど、ひどく痩せていた。手を取りあって再会を喜ぶ。見慣れた笑顔は相変わらず。でも、真夏らしからぬニットのボリュームを見れば、その腕が折れるように細いことが窺えた。
一体、何があったの?
それから、熱いスターバックスラテを両手に包んで、クミコさんの話を聞くことにした。「便りがないのは良い報せ」というのは思い違いだったと、棒のような脚を見ながら、後悔していた。
thirteen
13歳の誕生日に
ポストに届いたカードはクラスメイトからだった。
家族にバッチリ注目されてしまって、
どうにも居心地の悪い気恥ずかしさのなか封を開くと、
「13」の数字がポップアップするという
画用紙を折った、手作りのカードが出てきた。
よく観察すると
下書きしたシャーペンの跡やら
カッターで切るときにぶれた、多重のラインなど
完成までの苦労が窺えた。
美術の工作で、ポップアップやったよなぁ。
慣れない手つきで、すごくがんばって作ってくれたんだろうなぁ。
どのぐらい、時間かかったのかなぁ。
思いがこもっているんだろうなぁ・・・。
13歳の精一杯。
でも、ごめん。
嬉しかったかというと、微妙で
思春期の恋心なんて、不器用な手作りカードを手にしたとたん
いとも簡単にしおれてしまうのだ。仲良かったのは確かだけれど。
ポップアップがお城だったりとかしたら
違っていたかしら?
ううん、そういう問題でもなく。
好きでもない相手から、
手編みのマフラーを贈られた男性の気持ちが、少し分かった。
今朝方の夢
夢に出てくる登場人物のなかで
圧倒的に、多く現れる人がいる。
あの人は今どうしているかなと
一番気がかりだったことや、私の深層心理が
夢の世界で浮き彫りになっているんだろう。
とっくに潰されてしまった古い実家で
黄ばんだ畳の上に集まって、何やら思い出話をしていた。
夢の中の私は「今」の私だった。
それから、見た目は若いままでも、おそらく「今」のあの人。
実家には母や、昔飼っていた猫もいて
いくつかの時代が混ざり合った
ありえないシチュエーション。
それなのにとても懐かしくて楽しくて
心が温まる・・・そんな気持ちになる夢。
大切なものばかりの世界を思い描いたあとは
目覚めると少しさびしくなるね
みんなの兄貴へ
居酒屋でワイワイ馬鹿騒ぎしていても
ふいに仲間から離れていってしまうような寂しい目をするね
みんなの兄貴は頼もしいけど
それだけに 胸に溜め込んだ想いとか
情けない本音は吐き出せないんだろうな
愚痴でもいいよ
事情も大して知らない私の方が
気兼ねなく話せることもあるんじゃないかと思って
恐れ多くも兄貴の頭を撫でてみたら
渋いウインクを返してくれた
電車もない時間に解散
夜の青がだんだん淡くなって
追いかけてくる太陽に燃える赤い雲を横目に 私はタクシーに乗る
夜明けの大物を狙って
虫とり網を担いで公園に向かう父子とすれ違った
危なげなく暮らしていけたなら こんな風に生きられるのに
人気のない街を
兄貴はどこに向かって歩いていくんだろう
「いつか」はやってこない
約束するなら 今しかない
手帳 携帯 早くひらいて
気になるあの子の時間をもらう
その日のうちに 連絡いれて
間髪いれずにアピールしてね
「いつか」はやってこない
「そのうち」もやってこない
「こんど」もやってこないから
果報は寝て待たない
自分の力で 取りに行け
ゆらゆらぷかぷか
「趣味ってなに?」と訊かれて、答えに窮しました。
何が好きなのか、好きなものはごまんとあれど
一つを選ぶのは難しくて。
(ボーっとすること??)とはさすがに言えず。
ちなみに・・・文章を書くことは趣味ではなく、
自分のための「薬」のようなもので
趣味とは少し違う気がするので、説明しにくくやっかいです。
もちろん、大切なものを一つ見つけて
邁進していくことは素晴らしいです。
それでも、趣味に限らず
何かについて、一つを選ぶ必要はないと思っているから
世の中も何事も、断定するのも、されるのも
なんだか、もったいない気がしてしまう。
好きなもの、嫌いなもの
好きなひと、嫌いなひと
好きなこと、嫌いなこと
どっちつかずで掲げる看板がないのが困りますが
ほどほどに、いっぱいあったほうが楽しいです、たぶん。
彼氏(あるいは同等の友人)が複数いる友達が
「みんなで飲みに行くし、みんな、好き。」と、
一途な仲間たちを驚かせていましたが
それに賛同するかどうかは別として、
個人的には、そういうスタイルがあってもいいと思ったり・・・。
みんな違って、充実していくコミュニティ。
そこで「個」を持っていられたら素敵ですね。
波に乗るとしても、沖に向かっていく果敢なサーファーがいれば
浮き輪の穴にお尻を落として
波打ち際でぷかぷか浮かんでいるだけの私もいる。
おんなじ海で、おんなじ波に乗っていて、姿かたちはみんな違う。
違う風でも楽しければ一緒にいられるし、
それでいいんじゃないかなって。
水色のイルカ
ふかふかしたイルカのぬいぐるみを買って
合鍵で部屋に忍び込んだ。
万年敷布団ならぬ、薄っぺらいベッドの中に
その大きなイルカと、私は隠れた。
しばらくして、彼は部屋に戻ってきたのに
10分経っても、15分経っても、
このサプライズに気付きもしなかった。
自分で種あかしをするのは気に入らないが
このまま布団で窒息するのも、そろそろ疲れたし
「ココダヨ!」 と、
イルカのセリフを言ってみた。
毛布をがばっと開いてみたら
そこにはイルカと、“私”がいて
彼はとても嬉しそうだった。
簡単には「さようなら」と言えないぐらい、
いなくなったら、家族も親友も失うぐらい、
あんまり仲良しになりすぎてしまった。
胸が痛い。
私はこのイルカを、私の代わりにして欲しくて
連れてきたんだ。
涙がいっぱい染み込むぐらい
イルカを抱きしめるんだろう。
ごめんね。
最後までわかりやすく傷つけて。
私はつくづく最低だ。