都立学校で「産婦人科医」が校医に!

 

子ども・若者が、性と健全につきあいながら成長してほしいと進めてきたユースヘルス政策ですが、東京都が運営している学校「都立高校」や「特別支援学校」10校で、産婦人科医が校医になって子どもたちの相談ができる体制が始まりました!!東京都では今後さらに学校数を増やしていくそうです。これは全国的にもとても先進的な取り組みですキラキラ

 

2022年11月1日の文教委員会の事務事業質疑で、東京都教育委員会に対して質問したので報告します!

 

 

 

質疑のアーカイブがこちら上矢印 8:25:42からが私の質疑です

 

私の質問内容のQ&Aを以下に解説させていただきます!(議事録は都議会のHPからもチェックができます)

 

ユースクリニック発祥のスウェーデンの包括的な性教育

 

(スウェーデンで幼少期を過ごしました。真ん中が私。1980年初頭)

 

私が生まれ育ったスウェーデンは、1955年に世界で初めて義務教育の指導要領に性と共生教育を導入した国であります。

 

子供の頃(1980年から90年代)「スウェーデン出身」だと言うと、「(スウェーデンって)性についてとても開放的で奔放な国なんでしょう?!」とよく言われました。まるで性に関して乱れているというニュアンスが含まれた発言でした。しかし、私がスウェーデンに関して抱いている印象はそれと正反対で、スウェーデンは性に関してオープンではあるのですが、とても健全だと感じています。

 

(スウェーデンの)学校では、いわゆる包括的な性教育が実施されています。日本の性教育は身体的な生殖の仕組み・二次性徴・性感染症の話などに留まるのですが、スウェーデンは体の話だけではなくて、ジェンダー平等、性の多様性への理解、人間関係において自身の意見が尊重されること、他者を尊重すること、差別や暴力、社会の規範などの是非、そしてリスクに直面した時にどうするべきなのか、安全にアクセスできるユースクリニック等の施設や機関の情報についてなど、本当に幅広いテーマが性教育の中で扱われております。(これらの教育が)「性教育」という枠組みで教えられることもあれば、他の授業にトピックが交ぜ込まれているような扱われ方もしているということでありました。例えば算数のテストの設問の中で、「そのときゲイのカップルが部屋に入ってきました。部屋は(全員で)何人になりましたか」という感じで、「性の多様性」が普通に使われていることによって、(それが普通のことであることが)理解できるような取組もあると聞いております。

 

 

ジェンダー平等と幸福度の関係性

 

こういう包括的な性教育は子どもの「幸福に生きること・ウエルビーイングの学び」にもつながっていると聞いています。

 

スウェーデンは、世界ジェンダーギャップ指数2022では5位で、2006年以来トップ5にランクインし続けています。そして世界幸福度ランキング2022では、スウェーデンは7位になります。

 

 

 

この二つのランキングを見比べると、世界ジェンダーギャップ指数ランキングのトップ10のうち5か国が、幸福度ランキングのトップ10にも入っているんです。ジェンダー平等を大切にしている国は、幸福度も高い傾向にあるということが、このことからも分かるかと思います。

 

 

 

 

日本ージェンダーギャップ指数も幸福度も低めだが、「性産業先進国」

 

 

日本はというと、ジェンダーギャップ指数は116位、そして幸福度ランキングは54位ということで、どちらも高くはないという現状です。

 

 

 

一方で、性産業については「性産業先進国」と日本は呼ばれているようで、ポルノは世界シェアの六割が日本で制作され、アダルト向け市場産業規模は六十四兆円といった試算もあるという風に聞いております。世界から見れば、この日本こそが、断トツで性に関して奔放な国と見られているのではないかなと思います。


 この日本の現状を子ども・若者目線で見てみますと、性に関する正しくて安全な頼れる情報や人・機関が非常に限られている中で、アダルト向けの偏りがあったり誤りがある情報がインターネットやコンビニなど身近な場所に氾濫しているというアンバランスさの中で成長しているということになるかと思います。

 

 

東京都にユースクリニックの設置を要望


 都として、幸せに生きることができる次の世代を育成していくために、昨年度、スウェーデンの事例を参考にした東京都版ユースクリニックの創設について、都民ファーストの会の会派として要望させていただきました。

 

 

 都は、福祉保健局、東京都教育委員会、そして子供政策連携室の三つの部署が、行政の垣根を越えて連携して、このユースヘルスケア事業の立ち上げに準備してくれていることは、大変大きな希望のある、ありがたい取組だというふうに感じております。

 

(東京都令和5年度予算概要)

 

質問①:
 都立学校において2022年10月から「ユースヘルスケア事業」を開始したということですが、その事業内容についてお伺いいたします。

 

 

<東京都教育委員会・村西都立学校教育部長答弁>

都教育委員会は、月経や摂食障害など、都立高校生等が抱える思春期特有の健康上の悩みに対応するため、新たに産婦人科医を学校医として任用し、ヘルスケアに関する専門的な相談を10月から開始しております。現在、全日制や定時制の高校、特別支援学校など10校の様々な学校において相談事業を実施しております。

産婦人科の学校医は、養護教諭と連携し、生徒、保護者等からの相談に、対面やオンラインにより助言を行うとともに、専門的な診療が必要な場合は、医療機関への受診を案内することとしております。

 

 

<龍円>

産婦人科医を学校医として迎えるというのは、日本全国を見回してもとても先進的な取組だと思います。ぜひこれを成功させていただいて、全国のモデルになっていただきたいと期待しております。10月から開始したということなので、ちょうど一か月がたったところだと思います。
 

 

質問②:

都立高校や特別支援学校における産婦人科の学校医による相談を開始してから、これまでの各校の具体的な取組についてお伺いいたします。

 

 

東京都教育委員会・村西都立学校教育部長>

各学校におきましては、「産婦人科医による専門相談」の案内を行うリーフレットを全ての生徒、保護者に配布するなど、事業の広報に努めているところでございます。

 

既に、生徒・保護者からは、月経に関することや、体重・外見の悩み・思春期特有の心身の不調など様々な相談が寄せられておりまして、養護教諭等が専門的な対応が必要と判断し、産婦人科の学校医の相談につなげた事例も出てきております。

 

<龍円>

まだ(相談体制の開始から)1か月ということですが、早速、様々な相談が寄せられて、支援につながっているということが分かりましたので、大変良い滑り出しだと思います。


 さて、どんなにいい制度であっても、子供・若者は「安心して利用できる」と思えなければ、たとえ困っていたとしても、相談に行けない・利用できないという実態があるかと思います。そこで子ども・若者の意見や声を積極的に聞くとともに、子ども・若者自身がこの制度設計に関わっていけるよう要望してまいりました。

 

 

質問③:

都教委は「ユースヘルスケア推進事業」の実施に向けて、都立高校生を対象にアンケートを実施したと聞いています。アンケート結果の概要についてお伺いします。

 

 

東京都教育委員会・村西都立学校教育部長

 都教育委員会は、ユースヘルスケア推進事業におきまして、思春期特有の健康上の悩みに対応するための相談窓口を設置するに当たり、実効性の高い相談体制の構築に向けまして、都立高校生を対象にオンラインによるアンケートを実施いたしました。アンケートでは、相談しやすい場所、相談窓口に関する情報の入手方法などについて回答を求め、1100件以上の回答を得ました。相談しやすい場所としては、学校や病院、また、情報の入手先としては、SNSや学校のお知らせの回答が多い状況でございました。

 

<龍円>千人以上の都立高校生の声というのは、非常に貴重な内容だと思います。そして、生徒が相談しやすい場所に「学校」の回答が多かったということなので、今回の学校における相談体制の充実を図ったことは、ニーズにも合っているのだなと感じました。今後も、高校生の声を積極的に聞いて、事業の改善に役立てていただきますようお願いいたします。

 

 


 (資料を示す)こちらにWHO世界保健機関が出している「青少年にやさしいヘルスサービスガイド」の日本語版があります。ガイドラインが示されていて、とっても分かりやすい内容になっています。(オンラインに掲載されているのでリンクからご覧ください)このガイドには、五つの大きな考え方・要素が紹介されています。

 

 

 

1つ目は「公平である」ということ。全ての青少年がヘルスサービスを制限されることなく提供されることということが示されています。

 

2つ目は「利用しやすいこと」。サービスが無料もしくは入手可能な価格であるということ、受付時間が子どもが利用しやすいこと、ヘルスサービスの存在について周知されていることなどが挙げられております。


3つ目が、とても重要だと感じているんですが「受け入れやすいこと」と挙げられていて、そこに書かれているのが、秘密を保持すること、プライバシーを保障すること、子ども・若者に対して叱ったりとか評価するようなことがないノンジャッジメンタルであること、情報や教育を提供すること、サービスの設計や評価に青少年が積極的に関わることなどが挙げられております。これまで多くの専門家に話を聞いてきましたが、この三つ目はとても重要だと思っていますので、これが徹底されないと、子供、若者が利用しにくいのかなというふうに思っております。


4つ目が「適切であること」、5つ目は「効果的であること」と掲げられています。


 都立学校でも、こういったユースフレンドリーなヘルスサービスガイドに沿った対応ができるようにしていくことが望ましいと感じております。産婦人科を校医として迎え入れる学校の養護教諭などに対して、研修などを通じてユースフレンドリーな環境をより一層整えていただきますようお願いいたします

 


 今回は都立特別支援学校でもこの取組を開始したことは、大きな意義があると思います。
 今現在の”親世代”は、自分自身が性教育を受けておりませんので、どういうふうに子供に伝えていったらいいのか分からないという中で、さらにスペシャルニーズのある子に対してどうやって伝えていけばいいのかということで、保護者の方は悩んでおります。都立特別支援学校における取組というのは、保護者からも熱烈に求められているものだと思います。2023度以降、都立特別支援学校での取組も進めていただけたらと思います。
 

 

質問④:
都教委は、新たに都立高校6校を指定して、ライフプランにおける健康上の課題について産婦人科医を招聘した"専門的授業"を実施するとのこと。指定状況と取組の進捗についてお伺いいたします。

 

 

 

<東京都教育委員会・瀧沢指導推進担当部長>

今年度、都教育委員会は、生徒が生涯を通じて、自らの健康や環境を管理し、改善していくための資質、能力を身につけられるよう、指導方法について研究開発に取り組む都立高校6校を指定いたしました。

指定した学校では、健康教育に関する年間指導計画を作成し、保健や家庭科などの教科において横断的に、食事と栄養、喫煙、アルコールなど、健康に関する授業の充実に取り組んでおります。また産婦人科医を招聘したライフプランと健康との関わりに関する公開授業を今月(2022年11月)から実施してまいります。

 

<龍円>

都立高校や都立特別支援学校の「ユースヘルスケア事業」は"相談"がメインですが、こちらの産婦人科医による公開授業は、”授業”において先進的な取組を進めるということでした。車の両輪のように取り組んでいただけたらと思います。

 

 

  東京都のユースクリニック「わかさぽ」情報はこちら

 

東京都福祉保健局が実施している東京版ユースクリニック「わかさぽ」は、電話相談・メール相談・対面相談をしております。

 

電話相談

 

0120- 372- 463  (みんなに よりそう)※通話料はかかりません。

毎週曜日:午後3時から午後8時まで 
毎週曜日:午前9時から午後2時まで (元日はお休み) 

※相談内容に関する秘密は守ります。

 

 

メール相談

メールは随時受け付けますが、回答は以下の日時に行います。
毎週曜日:午後3時から午後8時まで 
毎週曜日:午前9時から午後2時まで (元日はお休み) 

メール相談フォームはこちら

 

 

対面相談


 

日時:9月5日(火曜日) 午後2時から午後7時まで
会場:SHIBUYA109 渋谷店 8階 Creator Collaboration Space  

アクセス:こちらからご確認ください。


 

 

 

SHIBUYA109での対面相談とイベントは、8月に引き続きの開催です!

写真は8月の時のもので、NPO法人ピルコンの染矢明日香さん(左)、NPO法人mimosasのみたらし加奈さん(右)と。

 

 

 

 

 

ユースヘルス情報HP

 

東京都で作成している10代からの健康・医療サイト「TOKYO YOUTH HEALTHCARE」はこちらです。だんだん内容が充実していく予定です!

 

 

 

 

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