令和4年度の東京都の予算編成が最終盤を迎えています。
東京都に来年度の予算で「東京版ユースクリニックの創設」を求めました。
ユースクリニックは🇸🇪スウェーデンの子ども若者のための公的医療機関です。
まだあまり日本では知られていない取り組みなので、ご紹介させてください。
動画での解説はこちらです。
🇸🇪性政策で世界最先端のスウェーデン🇸🇪
私はスウェーデンで生まれ幼少期を過ごしました。
父がウプサラ大学で政治学の研究者だったことから、物心ついた頃から「超社会福祉国家」としてユニークな政策を進めているスウェーデンの政治について聞いて育ちました。私が都議会議員として政治に携わるようになって、父から聞いた話などをもとに、スウェーデンの福祉政策からは様々なヒントをいただいています。
さて、スウェーデンの幼馴染達とも遊びに行ったり、SNSで繋がるなどしています。友人のひとりミーラちゃんから20代の頃に、聞いた話が衝撃でした。
何か困ったらユースクリニックに行けば大丈夫だから。避妊に失敗したら緊急避妊薬も無料だよ。ぜんぜん不安はないよ。
20代の私といえば、当時はインターネットの情報もそんなにあるわけでもなく私はほとんど知識がなくて、緊急避妊薬というものがあることさえ知りませんでした。ユースクリニックが、素晴らしくて、そしてうらやましかったので、今まで忘れられないでいました。
正しい性知識がないまま大人になった
40代となった今、自分の人生を振り返ると、性に関しては誰からも正しい知識を教えられたことがありませんでした。
下腹部に違和感を覚えて生まれて初めて婦人科に行ったのが30代半ばで、エコーを見た医師から、秒で「あ。これはすぐに手術しないと」言われました。卵巣嚢腫が片方がソフトボール大、もう一方がゴルフボール大に腫れ上がっていました。捻転などを万が一起こしたら命の危険もありました。
子宮頸癌予防のワクチンの存在を知ったのは30代後半でした。
自分の身体との向き合い方やリスク回避について、正しい知識を得る機会がないまま大人になったことを、とても残念に思います。
自分自身が親になって、子ども世代には、自分の身体や性と正しく向き合い、他者の性も尊重できるようスウェーデンのような取り組みが必要だと考えていました。
スウェーデンの性教育は世界トップクラス
まず、スウェーデンの学校における性教育についてスライドにまとめました。
スウェーデンの性教育が先進すぎて、それだけでもびっくりします。
しかし世界トップの性教育をもってしても「学校の教育だけでは不十分」なのが分かります。
「ユースクリニック」の誕生
1970年代のスウェーデンではエイズなどの性感染症が社会問題となったそうで、なんとかせねばと最初は民間の活動で「ユースクリニック」が誕生したそうです。のちにそれを行政が制度として導入し、現在のような公的医療機関になったそうです。ではスウェーデンのユースクリニックについてご紹介します。
日本の現状は?
日本の現状についても私の見解をまとめました。
スウェーデンは性に関して開放的で、日本は保守的というイメージを持っている人も少なくないと思います。
しかし、私の体感的にはその逆です。
スウェーデンは性に関してより健全であり、日本は無秩序で圧倒的に乱れているというのが私の印象です。
東京都という自治体において、性教育やユースクリニックに準ずるような取り組みがあるのかどうかについて調べました。
東京都教育委員会における「性教育」
学校のおける性教育については、私が都議会議員になった頃にかなり大きな議論があって、少しずつ進み始めています。
なかなか進まないですが。
東京都においてユースクリニックっぽいことを、やってる部署はあるのか?
どこかの部署で似たような取り組みをしていたら、それをユースクリニックにパワーアップできないかなと思って、調べてみました。
部分的にやっている事業が、いろんな部署にポツポツとありました。しかしユースクリニックに準ずるような、子ども達の困ったや不安を直接支えられるような「公的医療機関」とまで言えるようなものはありませんでした。
「東京版ユースクリニック」を創設する必要がある
東京都の現状の取り組みが十分ではない中で、やはり東京都としてユースクリニックが必要だと考えました。その理由がこちらです。
「東京版ユースクリニック創設」を都知事へ要望
こういった内容を、都民ファーストの会の中でプレゼンテーションしました結果、令和4年度の東京都予算に対する要望の「最重点要望」の一つとして小池百合子都知事に手渡しされました。
東京都では、私たちのこういった「予算要望」の内容も踏まえて、令和4年度の予算編成の最終調整中です。(2022年1月現在)
ユースクリニックの必要性を理解していただいて、東京都として動いてくれるよう働きかけを続けていきます。
日本は世界的な"落ちこぼれ"・・・
私は性自認および性的指向に関する東京都の政策にこれまで取り組んできました🏳️🌈
現在は「東京都男女平等参画審議会」の委員も務めさせていただき、次期の東京都男女平等参画推進総合計画に取り組んでいます。
そんな中で「性」が無意識にも意識的にも私たちの生活の隅々にまで関わっていて、どんなことをしても性を切り離して生きていくことができないことを知りました。生きているってことは、そこに「性」があるということそのものなのです。日本ではいつまで経っても「性」について公に語ることがなぜかタブーのようになっていますが、それは「生きる」ということをないがしろにしているのと同じなのです。
日本の現状は、世界ランキングからもうかがい知ることができます。
2021年の「世界ジェンダー・ギャップ指数」は、世界153カ国中の120位です。スウェーデンは常にトップ5以内をキープしています。
OECDの発表によると、LGBTQに関する法律の整備状況は、OECD諸国35カ国中34位。
今の日本のこの現状を、「普通」だなんて思ってはいけないのです。
日本は性に関しては完全に「落ちこぼれ」なのです。
「性」を大切にするのは、つまり「生きる」ことを大切にするということ
子どもたちの「性」を大切に健全に守り育てていくということは、つまり次世代が「生きていく」ことそのものを大切にしているということになります。
責任ある大人として、次の世代のために、まずはユースクリニックを創設したいです。