令和4年10月19日の決算特別委員会の、福祉保健局に対する質疑の報告パート③です。

 

 

動画アーカイブはこちら。私の質問は00:37:10からです。

 

児童相談所に「常勤の弁護士」を配置したい 

 

<龍円の質問>2017年に厚生委員会に所属していた頃から、児童相談所に日常的に机を並べて共に働く常勤の弁護士がいてくださる必要があると訴えてまいりました。(都民ファーストの会の予算要望、代表質問、一般質問、委員会質問などで繰り返し求めてきているものです)

 

児童相談所における昨年度と今年度の弁護士の配置状況について伺う  

 

 

<福祉保健局の回答>
都では、全ての児童相談所に非常勤弁護士を配置するとともに、副担当となる協力弁護士を登録。具体的な配置状況は、令和3年度が非常勤弁護士22名、協力弁護士34名の計56名、令和4年度は非常勤弁護士23名、協力弁護士37名の計60名

 

 

常勤の弁護士に配置については、私たちの会派としても繰り返し要望してきたところではありますが、現在は配置されていないとのことでした。

福岡市の常勤弁護士

 

話が逸れますが、児童相談所に「常勤の弁護士」がいることの素晴らしさを知ったのは、2019年2月に福岡市の児童相談所機能を担っている「こども総合相談センター」を視察した際に、教えていただきました。

 

 

(福岡市こども総合相談センター藤林武史所長と記念撮影

左から龍円、後藤なみ都議、森愛都議、桐山ひとみ都議、藤林所長、岡本光樹都議)

 

福岡市の児童相談所では、毎日、他の職員の皆様と机を並べて勤務する常勤の弁護士がいらっしゃいます

 

児童相談所では普通だと思っていたことが、弁護士の観点から見ると「子どもの権利が十分に守られていない」ことが多々あったそうです。

 

そこで弁護士の観点からの指摘を一つ一つ変えていったところ、こどもの権利を守ることができる、日本を代表する素晴らしい体制が整えられていったそうです。

 

視察した当時の所長の藤林武史さんは、国の今後の社会的養育の方針を示した「新しい社会的養育ビジョン」を取りまとめたメンバーの一人でいらっしゃいます。

 

 

東京都の現状

 

 

東京都の児童相談所は、虐待通報の急激な増加に対応するために、職員を急ピッチで増やしております。(東京の年間の虐待対応件数は1万件以上)

 

一人前の児童福祉司になるために、3年間の研修カリキュラムがあります。このことから考えても、児童福祉司が3年以上の経験を有することが重要かと思います。

 

しかし東京都では、経験3年未満の児童福祉司や児童心理司が全体の50数%にのぼり、過半数を超えています

 

 他県児童相談所のベテラン児童福祉司から聞いたお話では「虐待案件を扱うのには一般的に10年程度のキャリアが必要、どんなに少なくとも5年の経験はないと難しい」とのことでした。

 

東京都の児相に10年以上のキャリアがある人は1割です。豊富な経験のある職員が少ないのも課題です。

 

このことから、東京都の児童相談所では、すべてのケースにおいて十分にこどもの権利が十分に守られているかどうか、児童相談所の中にいてみていてくれる弁護士がいてくださることがとても必要だと、考えています。

 

 

 質問内容に戻ります!

 

児童相談所に配置されている非常勤弁護士と協力弁護士のそれぞれの役割について伺います

  

 

 <福祉保健局の回答>
非常勤弁護士は、担当の児童相談所に月に4回勤務し、児童福祉司等から法律相談を受けるとともに、援助方針会議やチーム協議に参加し、ケースの方針や進行に対して助言
 
協力弁護士は、家庭裁判所からの緊急の案件や困難ケースなど、対応が難しいケースについて個別に助言

 

 

<龍円>

非常勤弁護士と、協力弁護士を多数配置することで、常時相談できる体制を確保して柔軟に対応できる体制をとっておられるとのことで、そこの体制にも意義があることは理解致します。

 

ただ釈迦に説法になるとは思いますが、社会的養護で課題だと感じるのは、子どもの最善の利益より、親権者の権利の方が強いケースが多々あると伺っています。

 

また児童相談所の児童福祉司の皆様については、誠心誠意働いてくださっていることとは思いますが、急激に増加する虐待に対応するため急激に人数を増やしていることもあり、経験年数が浅い職員が多数で、それでいて受け持っている件数が多いことから、時には荒っぽいまたは思慮に欠けてしまう可能性もあると伺っています。

 

そこで現在の体制に加えて、腰をすえて社会的養護の世界に関わってくださる常勤の弁護士がいれば、子どもの権利を最優先に考えてきめ細やかな対応が可能になるのではないかと考えます。この件については、子どもの意見表明やアドボカシーとも関わってくると思いますので、また別の機会に質疑させてください。

 

追記:

現在の非常勤と協力弁護士の体制だと、児童福祉司が「困った、相談したい」というときは素早く対応してくださる弁護士がいてくださる体制が整えられていると思います。このことは、とても重要で大事なことだと思いますので、良いことだと思います。

 

だた児童福祉司自身は特に困っておらず、気がつかないで子どもの権利を十分に尊重できていない場合や、親への対応が思慮に欠けている場合などがあった場合に、内部でその観点からチェックし見守ってくださる弁護士がいてくださることが、全体のサービスの向上につながるのではないかと思うのです。この点については、引き続き、議論や勉強を続けていきたいと思います。

 

 

           

 

続いて、(同じ会派の)藤井あきら都議が中心に進めている東京都のDXに絡んでの質問になります。まずは児童相談所についてです。対応件数が増えている中で、児童相談所のDXは非常に重要です。児童相談所では、DXの取組について、昨年度と今年度の取組について伺う。 

 

 

 

<福祉保健局の回答>

都は、業務の効率化・省力化に向け、児童相談所業務のデジタル化を実施 

 
昨年度(令和3年度)から、国の情報共有システムを活用移管ケース等について他自治体と情報を共有するほか、保護者等とのオンライン面接や、所内の会議資料を電子化する取組を導入 
 
今年度(令和4年度)は、AIを活用して電話での相談内容をテキスト化するシステムを導入

 

児童相談所のデジタル化を進めるとともに、都道府県をまたぐ移管ケースは国のシステムを導入しているとのことでした。一人一人の保護者や子どもの丁寧に向き合えるように、AIやデジタル化で効率をアップしていくことを今後も進めてくださいますようお願いします。

 

 

令和3年の予算特別委員会において藤井あきら議員が、児童養護施設におけるネットワーク環境の実態把握等について要望させていただきましたが、その後の取組状況について伺います。

 

 

<福祉保健局の回答>
都は、昨年度、都内の児童養護施設等に対し、ネットワーク環境の状況等を調査。
全ての児童養護施設でネットワーク環境が整備されており、このうち約9割はWiFi環境を整備

 

すべての都内の児童養護施設においてネットワーク環境が整備されていて、9割でwi-fiがあることが分かりました。藤井都議の要望も受けて、これらの環境について調べてくださいまして、ありがとうございました。

 

ただこれらの環境を、実際に児童養護施設の子どもたちが利用できているかどうかが重要です。(つまり職員だけがネット環境にアクセスできているのでは意味がない)

 

私は児童養護施設出身の若者の友人が何人かいるのですが、社会に出て困ったことが、インターネットで正しい情報の得る方法や、安全なネット利用だったとのことでした。

 

また施設にいる頃は、ネット環境が使えなかったことから「本」からしか知識を得られず、調べたいことがあると図書館に行くなどしていたそうです。(大きな情報格差がある状況があったと思います)

 

現在は、このコロナ禍で、教育現場における1人1台のタブレット単発が普及していますので、施設内でもネットにアクセスすることができ、必要な情報を得られ、ネットスキルが学べることが重要です。ぜひそういう取り組みを進めてください。

 

 

 

令和4年10月19日の決算特別委員会の、福祉保健局に対する質疑の報告パート①

 

 

令和4年10月19日の決算特別委員会の、福祉保健局に対する質疑の報告パート②